同じシーンでも見える商品が違う? 自動差し替えP.P.広告、収益に苦しむ動画サイトを救えるか

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同じシーンでも見える商品が違う? 自動差し替えP.P.広告、収益に苦しむ動画サイトを救えるか

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広告収入の減少が続く動画配信サイトは、今年こそ打開策が欲しいと願っている。現在、慎重にテストが進められている新たな形態のプロダクトプレイスメントが、動画配信サイトを救う打開策になるかもしれない。

オンデマンド型に進化したプロダクトプレイスメント

ある実験室の中では、すでに次のようなシーンが現実のものになっている。ある動画配信サイトの会員が、同じ時間に同じドラマを見ている。ところが、同じシーンに映り込む商品が異なるのだ。下の映像に現れる車は、視聴者が若い女性ならば小型車に変化する。視聴者が中年男性ならば、代わりに高級スポーツカーや多目的スポーツ車(SUV)が登場する。

こうした魔法のような技術が8月中に、中国の動画配信サイトが自主制作したドラマの中で初披露される見通しだ。

映像に挿入された商品の差し替えは、3年前にはすでに実現していた。だが、手動でレンダリングを行っていたために効率が悪く、ビジネスモデルも未成熟だった。業界関係者は、プロダクトプレイスメントの制作は難しく、商品のレンダリングからプラットフォームへの提出、プラットフォームの審査から修正作業まで、全工程に2カ月以上かかる場合もあったと指摘する。結果的に、この事業は打ち切りを余儀なくされたという。

その後、ある企業が商品の差し替えを自動化し、プロダクトプレイスメントの制作から配信までの所要時間を1分以内に短縮すると同時に、視聴者に合わせた商品差し替えを可能にした。

さらに、ある技術開発チームがこのほど、プロダクトプレイスメントの自動制作と配信を一体化させた世界初の技術の開発に成功したのだ。

動画配信サイトを救うプロダクトプレイスメントの新技術

この技術は、まだ大々的に公開されているわけではないが、すでに中国の動画配信サイト「優酷(Youku)」「愛奇芸(iQiyi)」「芒果TV(Mango TV)」の他、米国の「Netflix(ネットフリックス)」が関心を寄せているという。

多くの動画配信サイトがこの技術に注目する理由は、現在直面している厳しい市場環境にあると考えられる。各動画配信サイトはこの2年間、会員の獲得に全力を挙げてきた。だが同時に、広告非表示サービスを打ち出したことが、広告収入の減少につながった。

会員規模の拡大と広告収入の増加を両立することは不可能だった。動画配信サイトは新たなビジネスモデルの確立を急いでいる。新たな手法のプロダクトプレイスメントは、泥沼にはまった動画配信サイトを救う一筋の希望になるかもしれない。

挿入済みの商品を任意の商品に入れ替えられれば、1本のドラマに任意の数の広告が挿入できる。広告収入が大幅に増加することが期待されるのだ。

新たな広告モデルが広げる可能性

この新たな広告モデルはビッグデータに一層重要な役割を持たせることで、さまざまな派生効果を生み出すという。

1.ポジショニング
ビッグデータの活用を通じ、対象エリアや年齢層を特定した広告投入が可能になる。例えば、地方都市をターゲットとする菓子メーカーがプロダクトプレイスメントを利用する場合、地方の小都市に住む20〜30歳の若者を対象とする広告を集中投入できる。ターゲット層となる若者が視聴する動画に、任意の商品が自動挿入されるのだ。

2.ECプラットフォームとの連携
新たな広告モデルと電子商取引(EC)プラットフォームの連携も可能だ。例えば、優酷の会員システムがアリババグループの「天猫(Tmall)」および「淘宝(タオバオ)」の会員データを共有した場合、買い物履歴がプロダクトプレイスメントに反映され、優酷の動画の中で商品を的確に推薦できる。会員が淘宝で家電製品を検索すると、1秒後にはドラマの中に同種の商品が登場するといった具合だ。

リアルタイムで制作と配信が行われる新たなプロダクトプレイスメントには、広告の内容をどのように審査するかという新たな課題も存在する。

関係者によると、将来的には広告主との提携を前提に、データベースから広告主を選択して商品の素材を自動送信し、レンダリングを自動で完成させ、リアルタイムで配信することが可能になる。コンテンツの審査は制作前に実施し、さまざまな審査に合格した広告主のデータを別のデータベースに格納し、広告主の「ホワイトリスト」を作成するという。

作者:「新零售商業評論」(WeChat ID:xinlingshou1001)、章蔚瑋
(翻訳・田村広子)

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