米フードデリバリー「Chowbus」が約35億円を調達 中国人留学生が創設

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北米でアジアン・フード専門のデリバリーを手掛ける「Chowbus」社がシリーズAで3300万ドル(約35億円)を調達したことがわかった。リードインベスターは「Altos Ventures」と「Left Lane Capital」、コ・インベスターは「Hyde Park Angels」、「Fika Ventures」、「FJ Labs」、「Silicon Valley Bank」。3300万ドル(約35億円)の調達額は、米国のフードデリバリーのシリーズAでの資金調達としては近年最高額となった。

Chowbusによると、過去1年間で売上高は8倍に増え、従業員は4倍に増えたという。同社はすでにキャッシュ・フローのプラスを実現しており、米国の著名VC「Andreessen Horowitz」に、2020年の米国の「100の有力マーケットプレイス」の一つに選ばれている。同社はこのランキングにおいて、規模、成長速度ともに上位にランクインしており、唯一の中国人留学生が創設した企業である。

Chowbusは2016年に、中国人留学生の温林鑫氏と張粛羽氏によって創設された。米国にはすでに「DoorDash」、「Gubhub」、そしてUber Eatsといったフードデリバリー大手があるが、Chowbusは北米圏のアジアン・フードのみに特化。同社のサービスはデリバリー、テイクアウトの両方に対応しており、現在ニューヨーク、ボストン、シカゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトル、バンクーバー、トロントなど20以上の都市でサービスを展開している。

Chowbus経由で利用可能なレストランは約3000店あり、中華料理のほか、日本料理、韓国料理、タイ料理、ベトナム料理などもある。

Chowbusのアプリ画面(画像はChowbusより)

アジアン・フード専門のフードデリバリーは同社が初ではない。競合他社との違いについて、CEOの温林鑫氏はまずアプリの機能の違いを強調した。

Chowbusのアプリの画面は、レストランよりも料理そのものを見せることに重点を置いている。利用者は料理を中心に選ぶことができ、同時に複数のレストランのメニューを注文することもできる。この場合、Uber Eatsのように一回に一店舗のメニューしか注文できない方式より配送に時間がかかるが、それでもほかのアジアン・フードのデリバリーよりは早いという。

注文のほか、アプリにはポイント機能や会員サービスもある。月額9.99ドル(約1100円)で会員になれば、一回の注文金額が15ドル(約1600円)以上になると送料が無料になる。通常の場合の送料は平均5ドル(約500円)。ほかにも、遠距離の配達、会員限定割引、テイクアウト割引などが適用される。ポイント機能は、各レストランで注文した金額によって、そのレストランでのみ使用できるポイントがたまっていく仕組みであり、ポイントをほかのユーザーにプレゼントすることもできる。こうしたシステムにより、人気メニューのあるレストランはリピーターを獲得しやすくなる。

アプリの他、Chowbusでは24時間の英語・中国語オンラインカスタマーサービスを提供している。同社は北米在住の中国人をターゲットとするだけでなく、アジアン・フードの愛好家すべてを取り込みたいと考えているためだ。現時点で、利用者の約30%がアジア系以外である。

Chowbusは過去1年間に他社から管理職を2名引き抜いた。現COOのKenny Tsai氏は、電動自転車シェアリング企業「JUMP Bikes」の元COOであり、それ以前はUberに勤めていた。製品開発担当のJieying Zheng氏は、米国の大手共同購入サイト「Groupon」の元高級管理職である。

温林鑫氏によると、米国のアジアン・フード市場は1000億ドル(約10兆円)レベルに上るが、大半のレストランは中小企業で、きめ細やかな経営ができていない。そのため、同社は一般消費者に質の高いサービスを提供するだけでなく、データを活用して中小レストランの売り上げ増や、サービスの向上にもつなげていきたいとしている。

(翻訳:小六)

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