気持ちを記録すればAIが心理分析 メンタルヘルス対策にSNSアプリ活用

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ注目記事

気持ちを記録すればAIが心理分析 メンタルヘルス対策にSNSアプリ活用

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

孤独や不安などネガティブな感情を抱える若者には心の声を吐露する場所が必要だ。趣味でつながるSNS「即刻(Jike)」、勉強仲間のSNS「Timing」、ヒーリングサウンドアプリ「潮汐(Tide)」、心理クリニック「KnowYourself」、星座占い「測測星座(cecexingzuo)」などはそれに該当するかもしれない。

このうちの測測星座は2011年にローンチされ、現在、約1000万人が登録する。所属する星座やタロットカードの占い師は約1万人、性格診断、趣味交流、ライブ配信などの機能もある。

2019年第3四半期に、測測星座を運営する「北京力拓飛遠科技(Beijing Light For You Technology)」は、心情を記録するアプリ「趣鴨(quya)」をインキュベートした。このアプリはAI技術によりユーザーの心情を分析し、メンタルの健康状態を解釈する。現在、趣鴨は主要なアプリストアでローンチされており、10回以上バージョンアップを繰り返している。今年6月までに累積ユーザーは約60万人になり、翌日継続率は約30%になるという。

なぜ測測星座をベースに心理学を特徴とするSNSを立ち上げるのか、測測星座の任永亮CEOはこう語る。「測測星座は星座占いをメインにしたSNSであり、星座という必ずしも科学的とは言えない新興カルチャーに基づく、感情面に重点を置いた製品だ。しかし、メンタルヘルスでは科学的な心理学理論に基づく必要がある」

さらに、測測星座は大都市に住む20代を対象にしてきたが、趣鴨は対象年齢をもう少し下げ、ターゲットを大学生に絞った点でも異なる。

(画像は「趣鴨」より)

趣鴨はまだテスト段階だが、自分の気持ちを記したコンテンツのテキスト分析、ユーザーのメンタルヘルス状態の自動検出、症状のあるユーザー向けのアドバイスなどが使用可能だ。

同アプリでは、ユーザーが自分の性格をもっと理解できるよう性格診断テストMBTI(Myers-Briggs Type Indicator)や心理テストHTP診断法(House Tree Person test)も提供している。ユーザーは、アプリで知り合った人から慰めやサポート、励ましも得られる。開発者によれば、趣鴨アプリでユーザーが頻繁に言及する単語は「温もり」だそうだ。

趣鴨はツール性とコミュニティ性を重視

第一段階では、趣鴨はツールという側面に重点を置き、その後徐々にコミュニティ色を強めていくという。今後の開発プランは次の2段階から成る。まず、開発中のAIロボットとユーザーが投稿するコンテンツを組み合わせ、ユーザーとの交流を行う。次に、何人もの心理学者に加わってもらい、従来の認知行動療法によりロボットの機能を改善し、ユーザーのフィードバックと事前データに基づいてモデルの最適化も行う。

ロボットとの自律型会話に加えて、人とのコミュニケーションの仕組みも改善する。ユーザーの心理状態を改善すべく、ユーザーの迷いを解く専門の心理カウンセリングも導入する。

任CEOは、ネガティブなコンテンツがコミュニティに多過ぎて、大量のネガティブな感情が徐々にコミュニティの雰囲気を台無しにしてしまうことが、心の声を吐露する場を提供する製品の開発が進まない原因だという。AIアルゴリズムに基づくインテリジェントシステムは解決策になるかもしれない。このアプリはユーザーの特性を分析し、より関心のあるコンテンツを選別して提示し、ユーザーエクスペリエンスを向上させる。それに、AIロボットが中国での専門心理カウンセラー不足を補ってくれる。

開発チームは以前から、測測星座にAI対話ロボット機能を追加し、何百万もの文書記録を蓄積してきた。心理カウンセラーの導入、リスク管理、相談プロセス、カウンセラー認定、トレーニングでも改善を続けてきた。こうした実績は、同様の機能を趣鴨で実行する基礎になる。

開発チームは趣鴨にあるQ&Aサービス、コンサルティングサービス、ライブ配信サービス、広告収入などで収益化を見込んでいるという。

第二段階で開発チームが重点とするのは継続率の向上だ。(1)心情を音声で記録するなど、より多くのコンテンツ共有形式を模索すること(2)対話ロボットのサービス能力の向上(3)コンテンツの品質向上やより実用的な心理テストの導入などが検討されている。

(翻訳・永野倫子)

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録