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電池の持続時間を伸ばすことは、電池の技術開発における難しい課題の一つである。通常、電池は繰り返し充電しなければならず、充電できる回数に上限がある。では、充電不要な電池を作り出すことは可能だろうか。
その解決策の候補の一つがトリチウム電池であり、中国の「紫電能源(ZIDIAN NENGYUAN)」がその開発を手がけている。同社のトリチウム電池は電圧12V、電流1A、寿命は約5年間で、この間の充電は不要である。リチウム電池と比べれば、トリチウム電池の汚染と放射線はともに少なく、より性能が安定している、爆発の恐れがない、悪環境下でも通常通り稼働できる、コスト・パフォーマンスが良いといった利点がある。
同社の創業者によると、同社はトリチウム電池の開発を2008年から行っており、2013年に初代の製品見本を製造した。当時、熱核反応によって生じたエネルギーを電気に変えようとしたが、仕事率が3〜4Wしかなかった。その後同社は開発方針を光電変換で電気を作り出すことに変更し、実用化可能なトリチウム電池の開発に成功したのである。
この電池のメカニズムは、トリチウムガスが出す微量のβ線が薄い膜材料にぶつかり、膜材料から飽和電子が放たれ、紫外線との光電変換で電気エネルギーが生じるというものである。トリチウムガスの半減期は約12年であるため、その間安定的に電子が放出されることになり、長期に渡り安定した電力供給が可能である。実際に使用できるのは約5年間だという。安全性においても、リチウム電池と比べると、発火、爆発の恐れがないのが強みだ。
トリチウムガスの放射線が飛ぶことのできる距離は2〜3cmしかなく、電磁波の強さも同等のリチウム電池より弱い。トリチウムガスが漏れ出さないように、紫電能源は電池の外殻にカーボンファイバーを使用し、電池の内部には放射線防護材を入れている。
これらの特徴から、紫電能源のトリチウム電池は、軍事設備、アウトドア用品、モバイルバッテリー、ドローンなど、持ち時間、安全性、安定性へのニーズが高い分野での実用化が期待される。
現在トリチウム電池を研究・製造している企業は少なく、米国の「CityLab」は2013年に電圧3V前後のトリチウム電池を開発した。しかし、この電池はトリチウムガスが直接電子を放出することによって生じた電気エネルギーを利用するもので、電流は約30μAしかなく、ペースメーカーやセンサーなどにしか使えず、しかもコストが非常に高い。
目下、紫電能源の製品は小ロット生産し、試験的に使用されている段階である。量産を実現できれば、コストはさらに下がるだろう。同社はコンシューマーエレクトロニクス向けでの実用化を目指しており、年内に高性能なモバイルバッテリーを発表し、来年から量産にこぎつけたいとしている。
紫電能源の中心メンバーには、リチウム電池業界で開発、生産管理などの経験がある。現在同社はともに製品のテスト、量産、セールスを行ってくれるパートナーを探している。(翻訳:小六)
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