本国版TikTokが「フル再生」などミュージック機能の強化へ 音楽配信に向け布石着々

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ショート動画プラットフォーム「抖音(Douyin 海外版は「TikTok」)」は先日、一部ユーザー向けに最新バージョンの内部テスト版を公開した。音楽機能が大幅にアップグレードされたこのバージョンでは「フル再生」機能が追加されたほか、歌詞などを表示できる簡易版の音楽プレーヤーが実装された。

動画画面上の「フル再生」ボタンをタップすると、そのまま再生画面に移行できる。再生画面の中央部には歌詞が表示され、曲に合わせて自動スクロールする。一時停止もできるほか、シークバーのスライダーを調整して好きな位置を再生することも可能。音楽プレーヤーとしての機能が加わったことになる。

ただ、著作権の関係でフル再生できるのは一部の楽曲にとどまる。

これまで抖音は数々のヒット曲を生み出すブームの発信地となってきた。しかし著作権の問題から抖音アプリ内では全曲通して聞くことができないため、大抵のユーザーは別のアプリを使ってフルコーラス版を聞いている。ネットイースの「網易雲音楽(NetEase Cloud Music)」やテンセント傘下の「QQ音楽(QQ Music)」など音楽配信サービス大手は、抖音ユーザーがヒット動画に使われている楽曲をすぐに探せるよう、抖音の人気曲ランキングを作っているほどだ。

抖音にすれば、他メディアのために集客しているようなもの。この状況を打開するため、抖音は著作権管理事業者との提携を強め、さらに多くの音楽著作権の取得に向けて動き出した。

2019年末、抖音は「テンセント・ミュージック(TME)」と音楽著作権に関する提携を結ぶ。これによりTMEが著作権を持つ楽曲を抖音プラットフォーム上で使用できるようになった。2020年初めにかけても、複数のレコード会社との提携を取り付ける。

最近では、デジタル音楽会社大手「Believe Digital」との著作権提携契約を更新し、引き続き400万曲を超える楽曲のライセンスを所有することとなった。網易雲音楽も抖音との提携を発表し、音楽とショート動画を組み合わせたコンテンツ・エコシステムの構築に力を注ぐことで合意した。

抖音は2018年に、中国のオリジナル曲を支援するための「抖音ミュージシャン計画」を打ち出している。ミュージシャンにとっては音楽を世に広めるチャンスであり、抖音も自らが保有する音楽著作権ライブラリを拡充することができるという、ウィン・ウィンの計画だ。

この「ミュージシャン計画」に対する抖音の意気込みは強く、レベルアップを繰り返しながら継続されてきた。2020年には「抖音ミュージシャン1億元補助計画」(1億元=約15億円)と銘打って、全てのミュージシャンを対象にキャンペーンを展開した。このキャンペーンは広く好評を博し、開始から1カ月で再生回数70億回、参加楽曲動画へのいいね数3億回、参加楽曲3万曲を突破した。この成功は、抖音がオリジナル曲ライブラリを構築する上での強固な土台ともなっている。

抖音は第一義的にショート動画プラットフォームであるため、どのように音楽性を取り入れるか十分に見極めなければ、単なる動画のサブ機能で終わってしまう可能性がある。また音楽分野で成功をつかむには著作権業務を強化することに加え、明確なスタンスを定めて爆発的ヒットを飛ばす必要がある。そうでなければコモディティ化が進む音楽プラットフォームの中で、多くのユーザーは曲数が多く使い勝手の良いQQ音楽や網易雲音楽に流れていってしまうだろう。

いずれにせよ、「フル再生」と「簡易版音楽プレーヤー」がリリースされたことは、抖音が音楽配給やユーザー体験を重視する段階に入りつつあることを示している。今後、音楽分野でのビジネスもいっそう加速していくに違いない。

作者:Tech星球(ID:tech618)、陳橋輝
(翻訳・畠中裕子)

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