3Dビジョン活用の中国塗装ロボット、誤差は熟練工の半分に

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3Dビジョン活用の中国塗装ロボット、誤差は熟練工の半分に

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家具、ドア、窓、板金、建築材料などのワークピース(半製品)に吹付塗装をする3Dスマート塗装ロボット開発の「Curverobot(曲線知能)」が、シリーズAで数千万元(数億円)を調達した。出資者は「前海母基金(Qianhai FOF)」「新松投資(Xinsong Investment)」「雅瑞資本(Y&R Capital)」、資金は製品開発やマーケティングに充てられる。

Curverobotは2018年の設立当初、エンジェルラウンドで「遠望資本(iVision)」から資金を調達している。同社の顧客は「TATA木門」「欧派家居(OPPEIN)」「聯邦家具(LANDBOND)」など業界トップクラスの家具メーカーだ。

家具類は多様なデザインや作業自動化の低さのため、依然として人手による吹付塗装に頼らざるを得ない。しかし、吹付塗装作業では健康を脅かす汚染物質にさらされる。さらに、手作業による吹付塗装は重労働で、品質の一貫性を確保することも難しく、結果として良品率を低下させている。

近年、人件費の高騰や工場の自動化に伴い、塗装用ロボットの利用も2014年の6.33%から2018年には10%まで増加してきた。ただし、塗装ロボットのスマート化は進んでおらず、操作する専門技術者やロボットティーチングエンジニアが必要で、家具など複雑な形の物に吹付塗装するのは難しい。

これらの問題点を解決するために、Curverobotは3Dイメージングシステム、ロボット本体、インテリジェント制御アルゴリズム、ロボット操作ソフトウェアを自社開発した。Curverobotの塗装ロボットは3D構造化光を照射してワークピースをスキャニング、対象物の3次元点群情報を取得する。それらの点群データと自社開発AIアルゴリズムにより対象物のサイズと塗装範囲を計算し、吹付塗装作業を行う。

中国の塗装ロボット市場はこれまで日本の「ファナック」「安川電機」「川崎重工」やスイス「ABB」、独「DURR Systems」などの外国企業に独占されてきた。

Curverobotの銭鑫CEOは「我々が開発したロボットは耐摩耗性素材を採用し、ケーブルを本体内に格納することで防水・防爆性を向上し、ロボットの安全性を最大限に高めた。超長尺多関節ロボットアームの手首にあたる末端関節は360度、フレキシブルに回転できるので、曲面やコーナーもムラなく、きれいに塗装できる」と語る。Curverobotの塗装ロボット1台で塗装工2〜3人分の作業ができるので、投資回収に2年もかからない。

Curverobotによると、同社の塗装ロボットは厚さ175umで塗装し、誤差は±10umだという。ちなみに5年以上の熟練工でも±25umの誤差は出てしまう。さらに、ロボット本体と3Dレーザースキャナーの自社開発により、塗装ロボットのコストを大幅に削減、性能でも価格でも強みがある。

塗装ロボットはまた、良品率や加工工場のデジタル化レベルも向上させる。Curverobotのロボットは自身のデータをマルチに収集し、リアルタイムモニタリング、リモート操作、リモート診断などもできる。

Curverobotはソリューション全体を直接または販売代理店経由で販売する方式と取っている。

銭CEOは今後の展望について、ますます厳格していく環境保護要件が塗装ロボット市場の拡大を促進すると考える。現在、静電塗装技術とUV塗装(UV硬化型塗料による工法)が、VOC(揮発性有機物質)排出量を低減する工法として注目されている。静電塗装には高電圧が必要だが、ロボットを使えば感電のリスクを避けられる。また、UV硬化型塗装には設備の導入が必要だが、ロボットの活用でUV塗装の適用範囲を広げ、より複雑なシーンでも使用できる。ロボット塗装は職人による従来の工法よりも、これら先進的な工法に適しているのだ。

Curverobotのスタッフは現在30人余で、中心メンバーは清華大学、中国人民大学、北京大学などの有名大学の出身。創業者の銭鑫氏は安川電機応用技術センターの責任者としてロボット応用開発に従事し、ロボット技術からマーケティングまで14年間の経験を持つほか、搬送ロボット、溶接、研磨、吹付塗装など数十件のプロジェクトを率いてきた。(翻訳・永野倫子)


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