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中国のA株市場では、新エネルギー車関連銘柄が活況である。その川上産業であるコバルト産業の銘柄も高騰しており、コバルト大手の「華友鈷業(Huayou Cobalt)」の株価は、今年2月の低迷期から40%高騰した。証券会社は軒並みコバルト産業の回復を予測するレポートを発表している。
華友鈷業の上半期業績は好調だ。純利益は3.5億元(約53億円)で、前年比で10倍近くにまで増えている。それを支えたのは、やはり新エネルギー車だ。
低迷していたコバルト産業
今年2月の時点では、国際コバルト価格が低迷し、A株のコバルト関連銘柄も低調だった。
2月のコバルト価格下落の要因は、2月初頭に急騰した後の調整と、テスラが中国工場でコバルト不要の電池を使用すると発表したためだ。テスラの発表から一夜明けた2月19日には、A株のコバルト関連銘柄が暴落し、大手の「寒鋭鈷業(Hanrui Cobalt)」、華友鈷業がともにストップ安となった。
EVに使われるリチウム電池にはコバルトが必要になるため、EVメーカーの動向はコバルトの市況に直結する。2月に低迷した市場で、8〜9月に価格が持ち直してきたのは、コバルトの需要が増えるとの見込みがあったためだ。
販売好調なEV
新型コロナ禍では自動車産業が深刻なダメージを被ったが、新エネルギー車だけは好調だ。8月の販売状況を見ると、全世界で販売台数が伸びていることがわかる。
中国での販売台数は、今年7月に10.6万台と、今年初の前年同月比増となり、8月には史上最多の10.9万台を記録した。前年同月比でそれぞれ17.7%、25.8%増えている。
欧州市場はさらに好調である。夏季は通常販売台数が減少する欧州だが、今年は7月に11.37万台を販売し、前年同月比217.1%増となった。8月は7月よりやや減少したが、それでも前年同月比では大幅増である。そのうち、主要10カ国だけで販売台数が8.3万台に達し、前年同月比170%増となった。2020年の年間販売台数は105万台以上と見込まれており、前年比で90%以上増える見込みである。
今後の展望
新エネルギー車の販売台数はさらに増え続けるだろう。一方、コバルト不要の電池を開発しようとするテスラなど、コバルト産業にとってネガティブな材料も尽きない。今後のコバルト産業はどうなるのだろうか。
テスラの路線は変わっていないが、今年6月16日のフィナンシャル・タイムズの報道によると、テスラは上海工場と建設中のベルリン工場で使用する原材料として、年間6000トンのコバルトを鉱山業大手のグレンコアから調達することを決めたという。コバルト不使用は一朝一夕で実現できるものではなく、中期的にはコバルトの地位は安定しているといえる。
新エネルギー車に使われる電池には、コバルトを使わないリン酸鉄リチウム電池や、コバルトを使う三元系ポリマーリチウム電池などがある。前者は単位体積あたりの蓄電量が少ないため、主にローエンドの車種に搭載され、後者は主に高級車に搭載されている。目下新エネルギー車の高級車が続々と登場している中国市場では、それを反映して三元系ポリマーリチウム電池のシェアが増えている。2018年から2020年上半期までの間に、中国の三元系ポリマーリチウム電池のシェアは54%から72%に増え、リン酸鉄リチウム電池のシェアは37%から27%に下がった。
新エネルギー車市場の成長によって、今後リン酸鉄リチウム電池、三元系ポリマーリチウム電池の使用量はともに増えるだろう。たとえ一部でコバルト不要の動きが続き、三元系ポリマーリチウム電池のシェアが思ったほど伸びなくても、中期的にはコバルトへの十分なニーズが見込まれる。新エネルギー車の人気が続けば、コバルト産業はしばらくの間安泰だと言えよう。
(翻訳:小六)
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