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蘇寧、カルフール中国事業買収から一年 経営改革に成功したのか

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2019年9月、小売大手の「蘇寧易購(Suning.com)」が、カルフールの中国事業の株式の80%を48億元(約720億円)で取得し、カルフール中国の支配株主となった。買収される前のカルフール中国は、数年間赤字が続き、店舗あたりの売上高も減り続けていた。買収後の一年間で、どこが変わったのだろうか。

蘇寧の改革方針

蘇寧がカルフールを買収したのは、日用消耗品販売におけるカルフールのノウハウとサプライチェーンに魅力を感じたためである。家電量販店からスタートした蘇寧は、耐久消費財のことは熟知しているが、日用消耗品は弱みとなっていた。そこで、蘇寧は買収後、カルフールに蘇寧の理念を持ち込むと同時に、旧カルフールの専門性を生かすことに気を配ってきた。

蘇寧がまず取り組んだのは、カルフールのSKU管理のデジタル化である。そのうえで、カルフールのサプライチェーンを蘇寧グループ全体に組み入れ、商品を各事業部の間で共有できるようにした。カルフールが発注した商品でも、仕入れはすべて蘇寧の日用消耗品事業群の名義で行われ、カルフールで販売するか、それとも他の小売業態で販売するかは、それぞれの店舗の特徴によって判断することにした。

仕入れを一本化させた後、蘇寧は倉庫と物流の統一を図った。カルフールは2015年まで、各店舗の仕入れの権限を店長に付与しており、商品はサプライヤーから各店舗へと直接出荷されていた。しかし、この方法では大規模な仕入れができないため、価格が割高になり、品質管理やコンプライアンス上の問題にもつながる。そのため、カルフールは2015年から集中仕入れへのシフトを開始し、蘇寧が買収してからは全店舗で集中仕入れを徹底した。

店舗の改革

この1年間、カルフールの取り扱う商品と店舗形態にも変化が生じた。

まず、食品では、より積極的に新しいブランドやネットで話題になった商品を販売するようになった。新しいブランドはしがらみが少ないため、より自由に陳列することができ、一部の店舗では従来のようにブランドごとにまとめるのではなく、生活シーンごとの陳列を試みている。カルフールの食品は現在2万SKUあり、うち1/10がこの1年間で新たに取り扱うようになったブランドである。同社は今後、新しいブランドをさらに増やしていきたいとしている。

日用品でも変化が見られる。従来は粗利率の高い商品に絞っていたが、蘇寧による買収後は「商品が体験できる」ということをコンセプトに、粗利率にこだわらずに商品を厳選し、インショップの形式を多数採用した。インショップの場合、カルフールは在庫数量、仕入れと販売価格のみを管理し、ほかは各店舗の裁量に任せている。

惣菜では、完全店内調理にこだわることをやめ、提携先企業のセントラルキッチンで製造されたものを、店内で簡単に加工してから販売するようになった。

店舗形態の変化は、「1+2+1」というモデルにまとめることができる。最初の「1」は各エリアの中心となる大型店を指す。従来のカルフールの大型店を改造したものと、この1年間で新規出店したものがある。「2」は住宅地周辺の標準店のことで、2種類に分けられる。路面店は売場面積が1000〜2000平米で、半径1.5kmの商圏を想定している。ショッピングモール内の店舗はセレクトショップで、商品や内装がより高級志向となっている。最後の「1」は、生鮮食品のみを扱う小型店であり、売場面積は500〜800平米、半径500〜1000mの商圏を想定している。

店舗形態の調整のほか、カルフールは店舗型倉庫のモデルも導入しようとしている。各都市で超大型店1店を選定し、3000〜4000平米の倉庫スペースを確保して、その都市のネットスーパーでの注文に対応するというものだ。

カルフールは現在、中国の52都市で約200店の大型店を出店しており、ほかにセレクトショップ10店、「easy」コンビニ21店がある。さらに年内に新たに15店を出店する計画である。

この1年間の蘇寧の改革は、カルフールを中国の小売業の状況により合致させ、多様化する消費者のニーズに対応できる企業に変身させたといえる。しかし、これは改革の第一歩でしかない。今後はより大掛かりな改革が待っているだろう。

原文作者:零售老板内参(Wechat ID: lslb168) 謝康玉

(翻訳:小六)

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