血液製剤の世界にもIoTを…宏誠創新、血液の品質管理でトレーサビリティを実現するか
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血液の世界にIoTを導入
宏誠創新(Hongcheng innovation Tech BeiJing)は、RFID(Radio Frequency Identification)は、技術サービスソリューションのプロバイダだ。2014年に創業し、血液管理のIoTチェーン全体におけるより綿密な管理、すなわち、採血、転送、遠心分離、成分調整、検査測定から庫入れ、庫出し、輸送、リサイクルまでのあらゆる行程の安全管理にとくに注力してきた。
全てのIoTモデルを構築する基礎は、センサー付きRFIDチップタグおよび情報収集装置(各種リンクで独立した端末装置、スマートRFID試験管スキャナ等)で、これによって多数の血液バッグ/試験管をバッチでスキャンし、情報を効率的に読み取ることが可能になる。
ラジオ周波数識別とも呼ばれるFRID技術は、無線信号によって特定のターゲットを識別、関連データを読み込み・書き入れることができ、識別システムと特定のターゲットとの間に機械的ないし光学的接触を行う必要がないもので、図書館やアクセス制御システムに見られるものだ。
血液の管理システム、軍用から民間用へ応用
2008年から2013年にかけて、宏誠創新の首席科学者・高茂生(ガオ・マオション)氏は、解放軍軍事医学科学院の戦備血液管理に関する研究プロジェクトに参与し、RFIDなど技術の実現を担当していた。当時の研究領域は貯蔵から運輸までの血液管理に限られたものだった。前期の軍用プロジェクトが落着したため、宏誠創新は民生市場を開拓し、設備や消耗品の販売を通じて利益を上げる計画だ。
「血管から血管へ」をつなぐそのサプライチェーンの中では、医療リソースの集中と採血人口の分布によって、多重な品質検査プロセス(採血、調製、入庫、保管、出庫、臨床)と煩雑なステップを経る必要がある。潜在的な問題は、大量の血液バッグの在庫について、量や位置が不明でバッチ移送が実現できないことや、凍結保存している生物学的サンプルについては、管理情報システム構造が古いことである。
品質管理の自動化・視覚化・スマート化
宏誠創新では品質管理の自動化、視覚化、スマート化を図るため、技術分野で多数のイノベーションを行った(100項目以上の特許)。例えば、
■アンテナ構造の革新
アンテナ構造の良し悪しは、信号伝送に直接影響し、ひいてはデバイスの読み取りに影響を及ぼす(特にチップが水、金属イオンなどの影響を受ける場合)。
■無線通信の分野における衝突アルゴリズム
受動的に情報を読み取る場合、必然的に情報の衝突が発生する一方、高品質のアルゴリズムは情報の衝突率を低下させ、信号の収集効率を向上させる。実際の応用面では、宏誠創新は革新的な効率を発揮。血液バッグの読み取り効率は1秒あたり10バッグ以上に達した。
ただし、低温環境下では、チップが血液バッグ表面にぴったり貼りついてしまい、回路の活性に影響が及ぼされうる。ラベルを迅速に読み取るには、信号が迅速に活性化されることが前提だ(電磁感応方式による)。
■材料包装技術(ナノスケール材料、工業デザインなど)。
以上、大部分の技術は2014年以前にすでに実現されていた。その後、技術的な反復によって安定性と信頼性はさらに向上している。

初期の顧客ターゲット
市場参入の初期において、宏誠創新は比較的確立された血液製剤の流通元となりうる企業(即ちバイオ製品企業)を抱え込み、さらに無料での試用を提供することで、まずは各省の一級血液センターと各市の中心的血液センター50ヶ所に普及させ、顧客に自動化技術の効率・安全性を理解してもらう。
彼らが対象とする第1レベルの顧客グループは、500の血液ステーション(地方レベル+県レベル)。
ここでのニーズは採血、調製および保管だ。いわゆるファイン血液製剤の精製プロセスでは、採取したままの血液ではただちに使用出来ないため、複数の成分(懸濁赤血球、血小板など)に分離する必要があり、その後は成分輸血に使用される。

第2レベルの顧客は、病院の輸血部門だ。
IoT装置一式(通常2~3年でアップグレード、5年で交換)の価格は150万~300万元で、血液管理のどのプロセスに導入するかによって変動する。一般に、病院が臨床用血液を扱う場面は血液センターのそれよりも幅が狭い。必要になるIoTデバイスは、受信、保管、使用、廃棄、リサイクルといったところだ。
市場実験の限られた状況下で、宏誠創新は技術上の突破を続けた。3年内に消耗材の末端価格を従来の半分近くまで引き下げ、すでに同社の製品採用を決定した血液センターは15ヶ所に達している。一般入札方式(ラベル+機材)で販売した結果、3000万元の売り上げを見込んでいる。そのほか、人民解放軍系の医療機関で、ソフトウェアプラットフォームの全面切り替え業務を担うことになった。
安全性へのハードル
製品の品質・安全性を示すために、宏誠創新がすでにクリアしたハードルは以下の3点。
1)無線周波数技術による放射線は、血液そのものに被害を生じうる。この点を解決できるかどうか、臨床実験で証明することが必要であり、また、血液センターでの実地応用が必要とされる。
2)安全指標を証明するため、血液バッグ上の付着物が血液に浸透するリスクの有無を証明する必要がある。
3)情報を読み取る能力の正確性について、いかなる環境で送信された信号にも対応するかどうかを示す必要がある。
以上については8年前に臨床応用認証を取得しており、安全管理証明書(血液管理における無線周波数技術の検査報告証明)も4年以上にわたって発行されている。
今後の展望
宏誠創新は2018年初頭、新たに蘇州市の姑蘇区国資から1200万元を調達。2017年は、ベンチャーキャピタリストとしてシェンナン・キャピタル(深南創投)が投資したことにより、続いて中科創星が数千万元を出資している。
彼らの未来の目標は、スマート化した血液管理のクラウドプラットフォームを構築し、これによって、以下の2点を実現することだ。
1)血液センター内:スマート化した遠心分離機、スマート化したバーコード端末などについて、そのスピードや安全性をプラグイン方式で使用者に体感してもらう。
2)フロントエンドとバックエンド:採血の前にビッグデータ(血液バッグ上のチップをソースとしてモバイル基地局と接続するなど)のリアルタイム分析を使用し、献血希望者のプロファイリングによって献血者を募集する。
宏誠創新概要
宏誠創新の研究チームは清華大学と中国科学アカデミーの出身者を中心に、30人以上の技術人員を擁している。自社の知的財産権と関連機関による製品評価では100項目以上を取得しており、その分野はアルゴリズム、アンテナ、材料、アプリケーションシナリオ、外観などに及んでいる。またISO9001、軍用第2級秘密資格、企業格付けトリプルAおよびその他の重要な資格を擁している。