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ファーウェイは10月にフラッグシップモデルスマホの「Mate 40」を発表した。「Kirin」チップを搭載する最後の機種となる可能性が高いために注目されているが、もう一つの注目すべき点は、「HMS(Huawei Mobile Services)」と呼ばれるファーウェイ独自開発の各種アプリをプリインストールしたことである。これまでのファーウェイは、グーグル検索、グーグル・マップを含む「GMS(Google Mobile Service)」を使用していたが、2019年5月に米国の制裁を受けてからは、搭載ができなくなっていた。
制裁を1年以上受けたファーウェイの海外事業は大きなダメージを被り、今年第3四半期までの売上高は6713億ドル(約70兆円)で、前年同期比9.9%の伸びとなったものの、伸び率は前年の24%と比べ大きく下がった。そのため、Mate 40での新しい試みは、今後のファーウェイの海外戦略を左右するものだといえる。
海外市場での立ち位置確保を目指すファーウェイのアプリ
今回搭載されたHMSのアプリは、サーチエンジンの「Petal Search」と、地図アプリの「Petal Maps」である。ファーウェイのコンシューマー・クラウド事業担当副総裁の譚東暉氏によると、Petal searchは170以上の国と地域、Petal Mapsは140以上の国と地域ですでに使用可能だという。
2つのアプリは、ともに中国国内でローンチされる予定はない。ただし、中国国内で購入したファーウェイスマホを持って海外に渡航すると、渡航先でダウンロードを勧められるようになっているという。
グーグルのアプリの代わりに自社開発のアプリを導入しようとするスマホメーカーは、ファーウェイが初ではない。アップルは2012年に地図アプリをローンチしたが、未だにグーグル・マップの牙城を崩せずにいる。スマホメーカーがコンシューマー向けのアプリを運営するのは、それだけ難しいことなのである。
それでも、制裁を受けているファーウェイはやるしかない。サーチエンジンとマップアプリから着手したことについて、譚氏は「地図は情報を空間的に並べ、サーチエンジンは時間にそって並べたものだ。その意味で、この2つは情報技術の根幹であるためだ」と話した。
ファーウェイとグーグルのアプリの違い
まず、Petal searchを見てみよう。グーグルでは検索結果が箇条書きのように表示されるが、Petal searchでは情報カード形式で表示される。ウェブ検索のほか、天気、ニュース、スポーツ試合の結果、株価などを検索できる。さらに特徴的なのは、「ローカライズ検索」という機能だ。
ローカライズ検索について、譚氏は次の例を挙げた。「シンガポールのユーザーが『傘』と検索した場合、大抵は傘を買うのではなく、レンタル傘を探そうとしている。そのため、Petal Searchは最も近くにあるレンタル傘店舗を表示する。このように、検索と生活関連サービスを融合させ、検索技術だけではなく、現地でのサービスの向上を目指している。」
また、Petal Searchのもう一つの特徴は、プリインストールできない米国のアプリを、検索によって入手できることだ。
Petal Searchで検索すると、「Web」、「Apps」、「News」、「Images」、「Videos」の5つのカテゴリーから選ぶことができ、「Apps」ではアプリの一覧が表示され、そのままダウンロードすることができる。ファーウェイのアプリストアである「AppGallery」にそのアプリがあればAppGallery経由で、なければサードパーティのアプリストア経由でダウンロードされる。
次にPertal Mapsだが、現時点では位置情報、目的地情報とも、グーグル・マップに遠く及ばない。たとえばレストランを検索した場合、グーグル・マップでは場所だけでなく、口コミ、写真、メニュー情報なども表示できるが、10月30日に確認した時点では、Petal Mapsにはまだそのような内容がない。
地図アプリとしてPetal Mapsが優れているのは、ジェスチャーコントロール機能に対応していることである。Mate 40はジェスチャーコントロール可能な機種であり、この機種でPetal Mapsを使えば、運転中に手を少し動かすだけで地図アプリのナビを操作することができる。これはグーグル・マップにない機能である。
Petal Search もPetal Mapsも、まだまだ成長していかなければならない。ファーウェイにとって、アプリでの戦いは、始まったばかりである。
(翻訳:小六)
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