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前回の大型アップデートからわずか2カ月、アリババ傘下のモバイル向けECアプリ「手機淘宝」が再度アップデートを行った。今回のアップデートでの大きな変更は、店舗の公式アカウントが集まったSNS「微淘」が「訂閲(「購読」の意)」に変わったこと、そして「逛逛(「ぶらぶら歩く」の意)」というコンテンツ配信の新機能が追加されたことだ。
コンバージョン率を上げるため
微淘にはもともと、気になった店舗をフォローする機能があり、訂閲はそのフォロー機能をより強化したものである。従来は店舗をフォローしても、店舗情報はアプリのトップページに表示されず、微淘をタップしてから、フォローした店舗を探す必要があった。しかし、訂閲では、フォローした店舗がアプリのトップページに表示されるようになる。店舗としては、閲覧回数の増加とコンバージョン率の向上が期待できるだろう。
店舗や商品宣伝のための微淘と異なり、逛逛はコンテンツに特化している。逛逛には「フォロー」と「レコメンド」の2つのタブがあり、それぞれフォローしたインフルエンサーや店舗のコンテンツと、プラットフォームが薦めるコンテンツを閲覧することができる。今後ライブ配信機能も追加される予定だ。
商品に関連するコンテンツで購買意欲を刺激することは、現在のECでよく使われるマーケティング手法だ。逛逛の登場で、淘宝アプリ単体において、マーケティングから購入までを完遂できるようになる。
慎重にマーケティング機能を強化する淘宝
この変更は、淘宝がビジネスの主導権を握ろうとする動きの一環である。現在、各種コンテンツプラットフォームの人気が高まり、それらを使ったマーケティングが主流になりつつある。現時点ではまだ多くのコンテンツプラットフォームが淘宝などのECプラットフォームにトラフィックを誘導しているが、コンテンツプラットフォーム側が自社のECを構築しようとする動きも目立ち始めた。そうなれば、これまでのように淘宝にトラフィックを誘導することが減ってくるだろう。そのため、こうした動きが本格化する前に、淘宝は自分のコンテンツプラットフォームを作り、主導権を握ろうとしたのである。
その結果が新機能の逛逛だが、淘宝は非常に慎重にコンテンツを選んでいるように思える。微淘の機能変更がコンバージョン率重視なのと異なり、逛逛はコンテンツのクオリティを重要視している。コンテンツを配信するには淘宝の審査を経る必要があり、商品宣伝だけのコンテンツは却下される。これは、「小紅書(RED)」などのコンテンツプラットフォームが、広告が多すぎるため苦情に悩まされた教訓を汲み取ったものだろう。
2カ月前の9月30日のアップデートと同様、今回も店舗、消費者双方のアクティブ率とロイヤルティを上げ、売上の増加につなげ、プラットフォームとしてさらに成長するためのものである。前回のアップデート以降のデータを見ると、淘宝アプリのユーザーのアクセス回数と利用時間はともに20%伸びており、アップデートは成功したといえる。
しかし、今回は前回のようにうまくいかないかもしれない。コンテンツ中心の逛逛では、どうしても商品宣伝のみを行うためのユーザーや、そもそもクオリティの高いコンテンツを作れないユーザーが出てくる。現在はアップデート直後とあって、淘宝が様々なサポートを提供しているが、それらがなくなっても、クオリティの高いコンテンツを生み出し続けられるのか、ユーザーをこのプラットフォームにつなぎとめることができるのかが、課題となるだろう。
(翻訳:小六)
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