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2019年第2四半期以降、米政府による制裁措置の影響を受け、スマートフォン(スマホ)市場におけるファーウェイ(華為技術)のシェアは大幅に低下した。市場調査研究機関「Canalys」のデータによると、欧州市場におけるファーウェイのシェアは2018年第2四半期の22.4%から18.8%に低下した。またスマホの出荷台数をみても、2019年第2四半期は前年同期の1010万台から15.8%減少し850万台となった。
上位5社のメーカーのうち、ファーウェイ、Apple、ノキアブランドを運営するフィンランドの「HMD Global」はいずれもシェアを減らしている。
競合他社から明け渡されたシェアの大半は韓国サムスンの手に渡った。2019年第2四半期、サムスンのシェアは前年同期の33.9%から20%増加し40.6%となった。
シャオミ(小米科技)も一部のシェアを手に入れ、同四半期、同社のシェアは前年同期の6.5%から48%増加し、9.6%となった。
それから1年、ファーウェイがシェアを失い続けているのは変わらないが、その最大の受益者はサムスンでなはくシャオミになった。
2020年第3四半期、ファーウェイが欧州市場におけるシェアを14%に減らしたのに対し、シャオミは前年同期比91%増の19%にまで増やしている。
OPPOもファーウェイのシェア縮小の恩恵を受けている。2020年第3四半期、同社は欧州市場におけるシェアを3%確保し、前年同期比で396%増となった。
怒濤の勢いを見せる中国スマホベンダーがサムスンに激しくプレッシャーをかけている。台湾メディアの報道によると、サムスンは本来納期が8、9月だったスマホの部品を7、8月に前倒しで納品するよう要請しているという。サムスンは2020年第3四半期の出荷量を拡大し、ファーウェイが明け渡した海外市場を一気に奪取しようとしているのかもしれない。
シャオミ、OPPO、vivoもペースを加速させている。今年シャオミの雷軍CEOは、この2、3年の主戦場は欧州市場だとする見解を明らかにしている。
また、OPPOは、2020年に入って以降、ドイツに西欧本社を設立しただけでなく、多数の海外キャリアとも提携し、自社ブランドと製品の欧州市場進出を加速させている。
OPPO副総裁兼OPPO中国区総裁の劉波氏は去年9月、中国の取引先に宛てた書簡の中で、2020年下半期のグローバル販売目標を1億台に、中国市場での販売目標を30%以上引き上げることを明らかにしている。
OPPOのサプライチェーンへの発注追加は、ファーウェイが制裁下にあるのをチャンスと見た同社が市場シェア奪取に向け積極的に動いた結果だと外部は推測していた。しかし後にOPPOの陳明永CEOは、「こうした措置はファーウェイに対する制裁発動前にすでに講じられていた」と述べている。
vivoも今年大きな変化を遂げている。今年vivoは、ポーランド、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、英国という欧州6大市場への正式参入を発表した。
現時点では、シャオミ、OPPO、vivoのハイエンド市場における競争力は限定的であり、ハイエンドスマホの革新性やブランド認知度、あるいは現地キャリアとの関係維持においても成長の余地がまだ大いにあるとはいえ、今後この3社がさらに市場攻勢を加速させることは想像に難くない。
世界市場でサムスンやAppleと競合する中国スマホベンダーは、もうファーウェイだけではなくなっているのだ。
2020年、シャオミは設立から10年、vivoは11年、OPPOは16年を迎えた。中国国内のスマホ市場は競合の激しい既存市場となっており、彼らは新たな市場ボーナスを求めて長年にわたって海外市場を開拓し、価格戦争や補助金作戦を繰り広げ、幾度となく疑問や論争の的にもなってきた。
彼らは状況打開のための絶好のタイミングを迎えている。今後、中国国内外における彼らの競争は益々激化していくだろう。
作者:連線Insight(ID:lxinsight)鐘微
(翻訳:浅田雅美)
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