BYD、半導体事業の単独上場準備が本格化 市場拡大の波に乗れるか

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中国のEV大手「比亜迪(BYD)」の半導体事業の単独上場に向けた動きがいよいよ本格化してきた。2020年12月30日に発表された公告において、BYDは資金調達力向上のため、子会社の「比亜迪半導体(BYD Semiconductor、以下「BYD半導体」と表記) 」の単独上場を目指すことを公表した。BYDとBYD半導体はすでにフィージビリティスタディなどを開始したとしている。

BYD半導体は、2020年4月14日付の組織再編に伴い、BYD傘下の子会社「比亜迪微電子(BYD Microelectronics)」から名称を変更したものだ。再編時から、単独上場の構想をほのめかしていた。

BYD半導体は2004年10月15日に設立され、資本金は4.5億元(約60億円)。単独上場を目指す背景には、同社が手掛ける「IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)」と呼ばれる半導体の事業の好調がある。

IGBTは新エネ車のモーターと充電スタンドにとって不可欠な部品の1つであり、その重要度はバッテリセルに並ぶとされている。そのコストは非常に高く、新エネ車では車両の8%〜10%、充電スタンドでは20%を占めている。

新エネ車の販売台数が順調に伸びていることに伴い、IGBTへのニーズが高まっている。「国金証券(Sinolink Securities)」が昨年12月29日に発表したレポートでは、車載IGBT市場の2018年〜2023年の年平均成長率は23.5%に達すると予測している。

成長するこの市場において、BYD半導体は優位に立っている。国金証券によると、2019年の中国の車載IGBTのシェア1位はドイツのインフィニオン・テクノロジーズ、2位がBYD半導体、3位は三菱電機だ。

さらに、IGBTが新エネ車以外に普及する可能性も大きい。各国ともにカーボン・ニュートラルや温室効果ガス排出量のピークアウト目標を打ち出す中、風力発電、太陽光発電、産業用コンピュータでのIGBTの普及が期待されている。国金証券は、2025年にはIGBTの市場規模が54億ドル(約5600億円)に達し、パワー半導体(電源の制御・供給を行う半導体の総称)市場の24%を占めると予測している。

現時点で、中国のIGBT市場は外資企業の比重が大きく、BYD半導体関係者によると、中国は世界のIGBTの半分を使用しているにも関わらず、国内で供給されているのは10%しかないという。

供給を海外に頼っているため、2020年に新型コロナ禍が発生した際、IGBTの供給が滞り、納期が大幅に遅延した。そこで、調達先を国内に変更しようとする企業が増えてきた。

BYD半導体の単独上場は、こうしたIGBTの供給が国内中心になることを見越した一手である。資本市場で調達した資金で生産量を増やし、中国の新エネ車メーカーに供給しようというのだ。

現時点でBYDはBYD半導体の株式を3.25億株保有し、持ち株比率は72.30%である。公告によれば、単独上場後もBYD半導体に対する支配権を失うことがなく、BYD傘下の他の事業にも実質的な影響がないため、BYDの収益力は損なわれないという。

(翻訳:小六)

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