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中国スマートフォンおよびIoT家電大手の「シャオミ(小米科技)」は先日、モバイル端末の空間伝送型ワイヤレス充電技術を初めて発表した。充電に際してはスマートフォンを充電器の上に置く必要がなく、ゲームやネットサーフィンをしながらでもワイヤレスで充電ができるというものだ。
モトローラもシャオミの発表の1時間あまり前に自社の空間伝送型ワイヤレス充電技術を発表しており、トランスミッター(電波送信機)はシャオミのものよりさらに小型化されていた。
2017年にiPhone Xが発表された頃、スマートフォンのワイヤレス充電効率はわずか7.5Wだったが、それからわずか3年あまりの昨年10月、シャオミは充電効率を80Wにまで引き上げてきた。
現時点でファーウェイとOPPOが量産するワイヤレス充電は40W、シャオミでは50Wと有線での充電効率水準に達しているが、上記の「真にワイヤレス」となるこの充電方式は次の技術的突破口となる可能性がある。
前篇:三大ワイヤレス充電技術&業界ではやはり米企業がパイオニア
真の実用化にはほど遠い 安全性も要検証
冒頭のスマートフォンメーカー2社による空間伝送型ワイヤレス充電は、実のところ業界の十数年にわたる長い技術蓄積を経ている。とはいえ、展示会のコンセプト製品あるいはToBの小規模な応用のいずれにおいても、同技術の消費領域における大規模な実用化には依然として多くの課題がある。
シャオミのデモンストレーション動画および米国企業の事例から分かるとおり、現時点では空間伝送型ワイヤレス充電用の送信デバイスは体積が大きいうえに製造プロセスも複雑であり、材料も高額だ。
このほか、空間伝送型ワイヤレス充電のデモンストレーションプランにおける出力効率は現時点でさらなる向上が必要なほか、デバイスの検出と測位にはさらなる正確性が求められる。実際の家庭の居住環境は非常に複雑であるため、測位精度の向上が必要なのだ。
実のところ、こうした技術的な難題に加え、空間伝送型ワイヤレス充電の発展初期における同技術に関する疑問の声は、その多くが人体への影響に集中している。
さらに、技術の実用化と業界ルールの整備とは切り離せないことから、各国が自国の状況に基づき関連法令の制定を進めるだろう。現状からみれば、業界の古参企業といえるOssiaおよEnergousでさえ、米国本土のFCC(連邦通信委員会)による全ての周波数帯使用に関する技術認証を取得できていない。
中国はワイヤレス充電技術分野への着手が遅く、キャッチアップにも時間がかかるうえ、業界の法令制定についても補足や整備が必要な部分が多い。シャオミの今回の空間伝送型ワイヤレス充電技術については、コンセプト性が強いものであるとの認識が業界関係者から広く持たれている。
「空間伝送型ワイヤレス充電技術のスマートフォン分野での商用化においては、依然として安全性、法令、コストなどの一連の問題の解決が待たれる。堅く見積もってもまだ数年はかかるだろう」とある業界関係者も述べている。
作者:WeChat公式アカウント「智东西(ID:zhidxcom)」雲鵬 編集:漠影
(翻訳・神部明果)
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