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建設機械の総合サービスプラットフォーム「挖挖易購(Wawa Yigou)」が過去1年間で3回の資金調達を実施し、累計調達額を1億元(約17億円)近くとしたことが分かった。エンジェルラウンドのリード・インベスターは「経緯中国(Matrixpartners China)」と「険峰長青(K2VC)」。プレシリーズAのリード・インベスターは「九合創投(Unity Ventures)」で、経緯中国と険峰長青はコ・インベスターとして出資した。シリーズAでは「熊猫資本(Panda Capital)」がリード・インベスターを務め、全ての既存株主がコ・インベスターとして参加した。
挖挖易購は2018年に設立され、掘削機を中心とする建設機械部品のサプライチェーンサービス・プラットフォームを運営してきた。上流に当たる各部品メーカーの在庫情報をまとめ、下流に当たる建設機械オーナーとの橋渡しをし、価格交渉から購買、配送、業界情報サービスまでをワンストップで提供している。実際の取り引きはミニプログラムとアプリで進められる。
創業者の劉建CEOは、建設機械のアフターマーケットは巨大なニーズを抱えており、市場規模は1兆元(約17兆円)に上るとの試算を示す。中でも、掘削機部品は購買頻度が高く固定客をつかみやすいため、事業拡大の可能性が高い。だからこそ、挖挖易購は掘削機部品というニッチ分野を手掛けることとしたのだという。
掘削機部品のサプライチェーンは長い。メーカーから問屋、小売店、修理工場、修理技師、掘削機オーナーまでが関わっている。業界の体質は古く、IT普及率も低いため、取り引き効率が低かった。そこで挖挖易購はIT技術を活用し、業界の情報化と取り引き効率の向上を目指すこととした。
同社は部品メーカー向けに取引情報や在庫データ、業界内の在庫状況を確認できるSaaSプラットフォームを提供している。メーカーはプラットフォームを利用することで、生産周期の大幅短縮や在庫のだぶつき解消、運転資金回転率の向上が可能になる。同社はまた、中間業者を介さないラストワンマイル物流の仕組みを作っている。エンドユーザーが部品を調達する際の価格を、従来どおり小売店で調達した場合の7〜8割に抑えると同時に、納品までの所要時間を大幅に短縮できる。
劉CEOは、サプライチェーン上流の部品メーカーは全国各地に形成された産業クラスターに分散しているため、下流のエンドユーザーと直接対面するのが難しいと指摘。また、建設機械の部品は多種多様で、メーカー側も自社製品の流通ルートを完全に把握するのが難しいため、サプライチェーンの中間に位置する問屋が大きな力を持ってきたと説明する。
挖挖易購がサプライチェーンを大幅に効率化できたのは、創業メンバーの一人が中国最大の問屋出身で、部品の型式だけでなくメーカーの価格システムとリアル在庫管理のレベルを知り尽くしているからだという。従来の小売店の在庫回転率は年間3〜5回だが、同社が物流の最前線に設けた倉庫「前置倉」では10回以上となっている。サプライチェーン構築の基礎として、データベースを構築した。劉CEOによると、同社は2年かけて業界データベースを整理し、独自のデータベースを開発している。同データベースは、サプライチェーンの上流と下流に向けて多角的な情報を提供する。データベースには、シャーシやエンジン、油圧機器、電気系統などの部品のほか、潤滑油や補修用部品、工具など各種製品30万種以上の情報が収められ、品質保証期間や製品寸法、設置寸法、適用できる建設機械の型式などの情報を提供している。このデータベースが同社の大きな強みとなっている。
もう一つの強みは流通チャネルの構築にある。複数の省の省都に設けた物流センター兼倉庫と、各省内の県城(県政府所在地)、県級市、地級市およびさらに小規模な都市に設けた前置倉兼直営店を結ぶ流通チャネルだ。この流通チャネルの優位性は、大量の在庫を保管する前置倉が従来の問屋業務を代替することにある。倉庫と店舗を一体化させたことで、当日または翌日の配送を実現し、建設機械のオーナーが部品を調達する際の利便性を高めている。
同社の顧客獲得システムにも特徴がある。同社は進出地域ごとに、現地で利用されている掘削機のブランドや型式などを含む市場調査を実施した上で、出店先を決定している。現地プロモーションチームは直営店を中心に集客活動を行う。劉CEOによると、コンバージョン率は1カ月目で20%以上、3カ月目には60%になるという。
挖挖易購のサプライチェーンやデータベースなどは、サプライチェーンの上流と下流の双方から評価されている。現在のところ、提携しているサプライヤーは300社近く、プラットフォームの会員数は5万人に上り、過去1年間で売上高を10倍に増加させている。
劉CEOは、今年もチャネル構築と商業化に力を入れる計画だと説明する。また、事業の急速な成長を支えるため、組織構築を強化し、技術チームの規模を1.5倍にする方針だという。
ここ数年、中国政府によるインフラ建設への投資強化に伴い、建設機械の販売台数が急速に伸びている。とくに昨年は、新型コロナウイルス対策にも関連して掘削機などの需要が増加した。中国工程機械工業協会によると、昨年1〜8月の掘削機販売台数は前年同期比28.8%増となり、中国全土で21万474台が販売された。劉CEOは、建設機械のアフターマーケット市場は依然として成長初期にあり、挖挖易購と同様のビジネスモデルを展開する企業はまだ少ないが、今後は参入企業が増加するとの見方を示した。
同社の優位性は、経験に裏打ちされた流通チャネル構築にある。もう一つの優位性は、部品の生産からアフターサービスまでをデジタル化でつなぐクローズドループを構築したことにある。直営店の出店はサプライチェーン構築に関するデータ獲得の足掛かりとなり、蓄積されるデータの規模も等比級数的に伸びるはずだ。そして、蓄積されたデータこそが同社の競争力の鍵になるだろう。
(翻訳・田村広子)
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