TikTok中国版「抖音」、見知らぬ人とのマッチングや名刺機能など「つながり」重視が加速

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ショート動画アプリTikTokの中国版である「抖音(Douyin)」は4月27日、付近のユーザーとマッチングできるシェイク機能「抖一抖」をリリースした。また企業向けに「名刺」機能のテストも行っているという。

新機能の抖一抖は、アプリを開いてスマホをシェイクすることで付近の抖音ユーザーとマッチングできるというもの。この機能を使って「新しい友だちを探そう」キャンペーンに参加することで、クーポンなどの特典を受け取ったりできるという。

位置情報に基づいて見知らぬ人とつながるこの試みは、ソーシャル色を強める抖音にとって大きな意義を持つものと言える。

抖音はショート動画というエンタメ要素でデイリーアクティブユーザー(DAU)6億人を抱えるまでに成長したが、膨大な数に上るユーザー同士の強固な結びつきを構築できていないのが現状だ。昨年にはビデオ通話や友だちタグなどコミュニケーション重視の機能を続々と打ち出したが、大きな反響は得られていない。

これらの機能は、時間をかけてじっくり育てるような知り合い同士の交流に重きを置いているが、そもそもテンポの速いショート動画プラットフォームとの親和性は高くない。運営会社のバイトダンスが2年余り前にリリースした「多閃(Duoshan)」も親しい友人とのやり取りをベースにしており、抖音経由での利用者増を期待したが、目立った効果は上がらなかった。

そこで抖音は方向性を変え、見知らぬ人との交流にフォーカスした抖一抖をリリースした。これは一時期、大ブームを引き起こしたWeChat(微信)のシェイク機能「揺一揺」を意識したと思われる。揺一揺は同じタイミングでこの機能をオンにしているユーザーとマッチングできるという偶然性の高さが特徴で、何かと気を遣う知り合い同士のやり取りに比べて、よりカジュアルで気軽に楽しめる出会いの手段として多くのユーザーに受け入れられた。

抖一抖に関するトピックの再生回数はかなりの数に上っており、芸能人も多く参加していることから、見知らぬ人と知り合う新機能がソーシャル色を強めたい抖音の活路となるかもしれない。

このほか、抖音が名刺機能をテスト中であることが分かった。現在は事業者や企業を対象に公開されており、マイページ画面上に表示される名刺を使って企業間の交流に役立ててもらうというものだ。

名刺にはユーザーの名前、プロフィール画像、企業名、肩書などが含まれており、タップするとそのユーザーのページに直接アクセスすることができる。WeChatのチャット上で連絡先カードを送信できるように、抖音でも将来的にはチャット画面で名刺を送れるようにするという。

一連の新機能から分かるとおり、抖音はソーシャル化路線をひた走っており、ほとんど全ての分野や利用シーンにソーシャル色が感じられる。

しかし抖音の前には、全世界で12億人のユーザーを抱えるWeChatが大きな壁としてはだかっている。WeChatも投稿後24時間で削除されるショート動画「視頻動態(タイムカプセル)」や動画投稿用アカウント「視頻号(channels)」を打ち出して動画の比重を高めており、抖音を迎え撃つ態勢を整えている。

WeChatを抜き去りSNS界トップの座を奪うのは、決して生易しいことではないだろう。
(翻訳・畠中裕子)

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