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ファーウェイが独自に開発したOS「鴻蒙(Harmony)」の2.0バージョンのオープンテストが始められ、多数のユーザーが体験した。ファーウェイのコンシューマー事業ソフトウェア部の王成録総裁によると、ファーウェイのスマホが正式に当該OSにアップデートされるのは今年6月からになるという。
そこで、体験し感想をインターネットに書き込んだユーザーの声を集め、Harmony2.0に対する評価をまとめた。
Harmony 2.0の使い心地
高く評価されているのは、各デバイス間の高い連動性を実現した「分散型オペレーション」機能である。現在オープンテスト中のHarmony2.0にはこの機能に対応したアプリが3つ内蔵されている。そのなかで動画アプリ「優酷(Youku)」を使った分散型オペレーションの動画をアップしているユーザーがいた。
スマホの動画をタブレットに同期すると、スマホ画面がリモコンのように変わったことがわかる。リモコンのほか、動画の関連情報などを表示させる機能もあるという。
また、現在ファーウェイのスマホが採用しているOSの「EMUI 11」よりメモリ消費量が数百MB少なく、アプリの立ち上げが早いことも評価されている。バッテリーの持ち時間については、Harmonyの方がわずかによいとの声があった。
もちろん、ネガティブなコメントもある。まず、ホームから左側に画面にフリックすると、画面の反応が遅れることがある。おそらく「レコメンド」タブの読み取りに時間がかかっているのだろう。次に、海外のユーザーからは、一部のゲームをプレイするときにも動きが鈍くなるという現象が報告された。ただし、ゲームプレイ中の発熱は従前のOSから改善されたとの報告もある。
iOS 14を使用したiPhoneと比較すると、YouTubeで動画を視聴するときはほぼ同等のスムーズさだった。ゲームではiOS 14のほうがやや速く、アリペイのような生活関連アプリはHarmonyのほう動きが速かった。
Androidが名前を変えただけ?
Harmonyは当初から、Android OSに別の名前をつけただけのものだと揶揄されていた。では、最新のHarmony 2.0はどうか。
まず、スマホの電源を入れた時の立ち上げ画面からは、従来の「Powered by Android」の文言が消えていることがわかる。
さらに、ソース・コードを分析したユーザーによると、Android OSと一致するのは1/3以下で、先代のHarmonyから大きく減少したという。Harmony 2.0にAndroidの痕跡があることは否定できないが、中核はファーウェイ独自のものに変わったと言える。
Harmony OSの意義
ファーウェイの公式な説明では、Harmonyは2016年から開発し始めたことになっている。
だからこそ、2019年5月16日に米国がファーウェイへの制裁を発表し、グーグルが5月19日にファーウェイとの提携の一部を停止したとき、ファーウェイは5月20日にすぐさま「ファーウェイはすべてのシーンに対応したスマートエコシステムを開発し続け、よりよいサービスを提供していく」と強気な発表をしたのである。
「すべてのシーンに対応したスマートエコシステム」という表現はこのときが初出で、その後に発表されたHarmony OSはファーウェイの各種デバイスに搭載されるようになった。そして、ようやくスマホにも搭載されようとしている。
ファーウェイが長期に渡って独自のOSを開発することには、短期、中期、長期的な意義がある。短期的に見れば、欧米諸国が独占するOS市場に風穴を開ける可能性があると言える。
中期的には、Harmony OS独自のエコシステムを作り上げ、中国国内のアプリの成長を促し、さらに半導体産業への波及効果も期待できる。そして長期的には、その高い連動性を武器に、IoTデバイスの普及とともに世界市場を奪うポテンシャルを秘めている。
(翻訳・小六)
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