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ソフトバンクグループ(SBG)が今月10日、2021年度第1四半期(4~6月)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比15.6%増の1兆4800億円だったが、純利益は同39.4%減の7615億1000万円で、前四半期より61%減少した。
2020年度の親会社の所有者に帰属する当期純利益は4兆9900億円でマイクロソフトを超え、アップル、サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコに続く3位だった。
SBGの幹部は2020年度決算の発表当時、傘下の「ビジョン・ファンド」はネット配車大手「滴滴出行(DiDi Chuxing)」や「Uber for trucks」などニューヨークに上場する企業への投資をさらに進めると説明していた。しかし、SBGは投資事業のペースを一時減速させている。今回の決算報告書では、2021年度第1四半期は適当なIPOプロジェクトがなかったため、投資収益が低下したと説明している。
はっきりしているのは、SBGが数十億元(数百億円)で米IT企業の株式を売却したことだ。
SBGは、昨年夏に設立した上場株投資運用子会社「SBノーススター」を通じてIT企業に投資してきた。今年6月末時点で同社が保有する株式は136億ドル(約1兆4900億円)で、3月末の190億ドル(約2兆1000億円)を下回った。同グループは3月時点で31億ドル(約3400億円)のFacebook株、10億ドル(約1100億円)のマイクロソフト株、5億7500万ドル(約630億円)のAlphabet株、3億8200万ドル(約420億円)のNetflix株を保有していたが、今回の決算報告書にこの4社は見当たらない。また、アマゾン株は62億ドル(約6800億円)から56億ドル(約6100億円)に減少している。
SBGは中国への新規投資を一時停止すると発表し、今年に入ってから中国企業への投資を減速させていた。同グループの投資ポートフォリオに占める中国企業の割合は、以前は30%前後だったが、7月末時点で23%に低下している。SBGは4月以降、新規投資の11%しか中国に投資していない。ビジョンファンドは現在、滴滴のほか中国ネット通販大手「京東集団(JD.com)」傘下の物流会社「京東物流(JD Logistics)」などの米国上場企業に投資している。
SBGによる対中投資の減速は、米国で上場する中国企業に対する中国政府の審査強化と関係がある。
中国は滴滴など米国で上場する企業に対する監督・管理を強化しており、音声配信プラットフォーム「 喜馬拉雅(ximalaya、ヒマラヤ)」など多くの中国企業が米国でのIPOを中止した。塾の上場禁止などの政策が教育業界にも大きな打撃を与え、大手学習塾「新東方(New Oriental Education)」やオンライン教育大手「好未来(TAL)」など海外で上場する企業の株価が大幅に下落した。
SBGの投資先で最も利益を上げているアリババの株価もさえず、2020年11月からほぼ半減している。
SBGは今年第1四半期末時点で31兆6000億円の株式を保有しており、最大の投資先であるアリババの株式は純資産の47%にあたる1100億ドル(約12兆円)になる。
SBGの孫正義CEOは、中国で新たな規定が続々と打ち出されていることを受け、規定の実施が市場に与える影響を見極めた上で今後の方針を決定したいとの考えを示していた。ただし同グループは後日、この発言についてメディアは誤解しているようだが、中国市場への投資を続ける方針に変わりはないと説明している。
ビジョンファンドのNavneet Govil CFO(最高財務責任者)は、現在の市場環境はビジョンファンドの収益予想に影響してはいるが、全体として中国に対する見方は変わらないとの考えを示した。
ソフトバンク系の投資会社「ソフトバンク・チャイナ・ベンチャー・キャピタル(軟銀中国資本、SBCVC)」は今月11日、SBGの中国での投資戦略についてはコメントを控えるが、SBCVCは今後も引き続き中国の優れたハイテク企業や高成長企業に投資するとの声明を発表した。しかし、後にこの声明は削除されている。
(翻訳・二胡)
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