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欧州の高級ファッションブランドを専門にしたEコマースプラットフォーム「識季(SENSER)」がシリーズBで4000万ドル(約45億円)を調達した。「摯信資本(Trustbridge Partners)」が単独で出資し、財務顧問は「光源資本(Lighthouse Capital)」が務めた。
識季は2017年に設立され、最初の3年は国内外のバイヤーやディーラーに商品を供給してきた。今年初めにアプリをリリースし、個人消費者向けの事業を開始。現在、アプリの流通取引総額(GMV)の月平均成長率は60%を超え、平均客単価は5000元(約8万6000円)以上、累計40万人のユーザーに利用されてきた。
識季は設立年から欧州でラグジュアリーファッションのサプライチェーン統合を始めた。10人以上のスタッフがイタリアへ移住し、商業施設で事業開拓(BD)を行い、1年ほどで初期の事業モデルを作り上げている。現地商業施設の在庫管理システムに直接接続しており、現地で発売された新商品をユーザーがアプリで見て購入できる。アプリで取り扱う商品の70%以上が新商品で、販売店と直接提携しているため価格競争力もある。中国市場の定価よりも3〜4割安く購入できるのだ。すでに3000以上のブランドの60万点以上の商品をカバーしており、フランス、イタリア、ドイツなど50以上の国・地域の約1000の商業施設と連携している。
創業者の史習羽氏によると、サプライチェーンを統合する過程では問題点もあったという。
一つ目は、業界が閉鎖的な点だ。高級品を取り扱う欧州の商業施設を統合することは、業界改革に等しいプロジェクトになる。欧州の商品流通システム全体を熟知しないとならず、さらに商品そのものを深く理解しなければならないからだ。
高級ファッション業界では多くの「特殊な慣例」が存在する。一例として、人気商品は一般的な消費財とは異なり、人気が上がれば上がるほど供給数が絞られて入手困難になる。こうした商品を手に入れるためには同一ブランドの他商品で購入実績がなければならないという、いわゆる「抱き合わせ販売」が存在するとも言われている。
二つ目は、インフラが脆弱な点だ。2017年にプロジェクトが始動した際、欧州のネットインフラは中国の2005年の水準相当だった。識季はインフラ面の構築からスタートする必要に迫られ、SaaSによるシステムのデジタル化、非正規商品の識別モデル、消費税還付手続きの電子化、香港を中継地とする国際物流路線の構築など、サービスが中国水準に達するまで4年かけたという。
識季はコスト削減と高効率化を両立した物流ソリューションを完成させた。まずは欧州の税務署、税関、国際物流を結ぶデジタル化ネットワークを構築。消費税が全額還付(個人ユーザーは半額還付)できるシステムを実現した。また欧州に小型の集配用倉庫を設け、各商業施設から買い付けた商品をまとめて梱包し、国際宅配便として香港へ発送する。さらに輸出入貨物の検査を行う中国検験認証集団(CICC)を公式パートナーとしており、全商品の品質検査を行って合格したものだけを発送している。商品は平均して注文から10〜14日で届くという。
マッキンゼー・アンド・カンパニーの調べでは、中国の高級品市場は8000億元(約13兆8200億円)規模に達しており、世界の3分の1を占めている。ラグジュアリーファッションを取り扱うEコマースプラットフォームは他にもFarfetch、Net-A-Porter(ネッタポルテ)などがあり、いずれも中国市場での展開を加速させている。
識季創業者の史習羽氏はインターネットや多国籍展開ブランドの小売り分野で20年以上のキャリアがあり、仏LVMH(モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン)や米ナイキで管理職を務めた経験もある。その他のメンバーもアリババやテンセント、アマゾンやグッチ、LVMHなどの出身者だ。
(翻訳・愛玉)
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