中国のリハビリ支援ロボ、約70億円を調達 ソフトバンクVF出資

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リハビリ支援ロボットを研究開発する中国スタートアップ企業「傅利葉智能(Fourier Intelligence)」が先日、シリーズDで4億元(約70億円)を調達した。「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SoftBank Vision Fund 2)」がリード・インベスターとして出資したほか、サウジアラムコ傘下のベンチャーキャピタルファンド「Prosperity 7 Ventures」、「元璟資本(Vision Plus Capital)」もコ・インベスターとして参加した。

創始者でCEOの顧捷氏は今回調達した資金について、スマートロボット技術の研究開発に充て、リハビリロボットの世界的な利用や普及を後押しするとした。

傅利葉智能は2015年に設立されたスマートロボット企業。高性能ロボットのコア技術開発を専門とし、スマートロボットの技術プラットフォームを構築しており、リハビリ業界では同社のサービスが広く利用されている。2021年には中国政府がイノベーション能力に突出し、高度な専門性を高めた中小企業の中でも特に優れた企業と認定する「小巨人企業」の一社に選ばれており、20近くの国家級・省級の研究開発プロジェクトが同社を中心に進められている。

中国のリハビリ医療市場は需要が大きく、政府系シンクタンク「前瞻産業研究院(Qianzhan Industry Research Institute)」の予測データでは、2025年に市場規模が2000億元(3兆6000億円)を突破するとしている。大手投資機関がリハビリ支援ロボット分野に出資していることも同産業が急速に発展する一因となっており、さらに多くの優秀な人材とリソースがリハビリセクターへ流入すれば、社会での認知度も飛躍的に高まる見通しだ。

同社はリハビリ支援ロボット分野を出発点として、リハビリ機関にスマートリハビリの総合的なソリューションを提供できるようになった。また、スマートリハビリ製品、理学(運動機能回復)療法機器、リハビリ医療のデジタル化など、多元的なサービスを提供している。

自社で開発したリハビリロボットは数十の国・地域に輸出されているほか、国内外1000以上の機関で使用されている。本社は上海にあり、シンガポールにグローバル本部を置くほか、北京、上海、広州、チューリッヒ、シカゴでも研究開発や生産を進めており、グローバルな研究開発、生産およびサービスネットワークを確立している。

傅利葉智能は、フォースフィードバック(特定の操作に対して振動など触覚的な反応を引き起こす機能)技術プラットフォーム、多関節ロボットの動作制御カード、マルチセンサーなどのコア技術や部品を独自に開発し、ハードウェアとソフトウェアの輸入依存から脱却したとされる。フォースフィードバック技術プラットフォームに基づいて開発されたスマートリハビリロボットは、精密な力制御システムによってさまざま々な力学的効果を忠実に模倣する。こうしてソフトな力制御が実現し、利用者の状況に応じた適切なサポートを提供したり、利用者が作業を実行できるよう双方向のトレーニングに導いたりできるようになった。

一例を挙げると、3次元上肢リハビリロボット「ArmMotus EMU」は、単一関節から平面、立体運動までを包括的に網羅することで、運動制御、筋力、認知トレーニングなどを遂行できる。下肢外骨格リハビリロボット「ExoMotus」は、ウェアラブル型のリハビリ歩行トレーニングロボットで、将来的には歩行支援に使用される見通しだ。

次のステップとして、コア技術をリハビリ以外のより広範な分野に応用するため、バイオロボティクス(ヒトや生物の構造や機能をロボットに活用する学問)プラットフォームの発表を計画している。孫正義氏は2017年のモバイル関連の展示会「Mobile World Congress」で講演した際、今後30年間でスマートロボットの数が人間の数を上回るだろうと述べた。傅利葉智能の顧捷CEOによると、リハビリ分野ではこうした状況がすでに現実となっている。同氏は、傅利葉智能が設立に参画したリハビリセンターで稼働するリハビリロボットの数が担当ワーカーの数を上回る点を実例として挙げ、「人間と機械の融合時代がすぐそこまで迫っている」と語る。

顧CEOは、傅利葉智能は本質的にスマートロボットの企業であるとして、引き続きバイオロボティクスのインフラや技術を含むロボット基盤技術の研究開発に継続的に投資していくとした。さらに、バイオロボティクスの汎用プラットフォーム企業へ段階的に移行し、多様な場面で応用可能なトータルソリューションを構築する方針も示している。
(翻訳・大沢みゆき)

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