「アイウェア界のファストファッション」 新興DTCブランド「MYOMY」が資金調達

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トレンド最先端のアクセサリーブランド「MYOMY」がエンジェルラウンドで約1000万元(約1億8000万円)を調達した。梅花創投(Plum Ventures)が出資を主導し、藍海衆力資本(Blue Power Capital)も出資に参加した。調達した資金は主に製品ラインの拡充やサプライチェーン構築に充てられる。

MYOMYがアクセサリー市場に本格的に参入したのは昨年2月で、コストパフォーマンスの高いサングラスとそのアクセサリーを主力商品としている。販売は主に新興ECモール「得物(POIZON)」を経由している。36Krの調べでは得物の昨年のGMV(流通取引総額)は「唯品会(VIP.com)」に迫り、アリババ、京東集団(JDドットコム)、拼多多(Pinduoduo)、短編動画アプリの抖音(TikTokの中国版)、快手(Kuaishou)、前出の唯品会に次ぐ中国7位のECモールに成長した。

MYOMY創業者の徐暁光氏によると、同社は20年、得物の新規集客力に目をつけて出店。広告を一切打たずに初月にGMV約20万元(約370万円)を達成し、21年全年でGMV3000万元(約5億5000万円)以上を記録、得物で成長を遂げた最初のブランドの一つとなり、カテゴリー別でも1位のブランドとなった。

サングラスは「客単価が高く、ちょっとしたラグジュアリー感のある」商品というのが一般的な第一印象だ。原価の八〜十数倍にもなるという利益率もあり、サングラスブランドが客層を広げるのは難しい。「極めてリピート率が低く、購入サイクルが長いため、顧客を1人捕まえたら徹底的に搾り取る」ために、大部分のサングラスの価格が高くなると徐氏は説明する。

中国本土のアイウェア市場は客層が広く粗利率が高い。これまでは「近視用」など視力を補う用途の眼鏡が多くのメーカーにとって主力商品であり、サングラスは二の次だった。しかし近年になり、眼鏡をファッションアイテムとするトレンドが現れ、市場の拡大を支えている。産業調査機関の智研諮詢(Intelligence Research Group)によると、20年の中国の眼鏡フレーム市場は前年比4.7%増の294億8000万元(約5400億円)規模で、サングラス市場は同4.2%増の374億元(約6900億円)となっており、眼鏡市場でも最も成長著しいカテゴリーだ。

2015〜2020年の中国の眼鏡・付属品の市場規模 データ出典:智研諮詢

ファッションアイテムとしてのアイウェアの需要が旺盛なことは、フレームやサングラスなどの購入が増えるということにつながる。高い客単価を狙ったこれまでの戦略では容易に失敗することになるだろう。MYOMYは「お手頃価格のサングラス」という市場の空白にうまく入り込んだ。得物のデータによると、市場に流通する主なサングラスは500〜1500元(約9200〜2万8000円)であるのに対し、MYOMYのサングラスはだいたいが200元(約3700円)前後だ。

得物で販売されるMYOMYの一部商品の価格

米国の格安アイウェアブランド「Warby Parker(ワービー・パーカー)」の上場もMYOMYに気づきを与えただろう。Warby Parkerは北米で最も人気のあるDTC(消費者へ直売する)アイウェアブランドで、主に米国の地方市場をターゲットに手頃な価格帯の商品を展開し、時価総額はピーク時で60億ドル(約7000億円)を突破した。MYOMYの徐氏は、中国の強大なサプライチェーンと市場規模の伸びを考えれば、将来的に「中国版Warby Parker」が誕生するとみている。

MYOMYがわずか1年で、得物でトップセールスを記録するアイウェアブランドに成長した理由は以下の三点に集約される。

一つ目はトレンドに対する洞察力だ。ファッションアクセサリーブランドには最も欠かせない要素だと徐氏は考える。技術者出身の同氏はMYOMYでデータ追跡システムを構築して定期的にトレンド要素の収集を行い、同ブランドの商品が若者の美意識に添うよう努めているという。

二つ目はサプライチェーンのコントロールだ。MYOMYの主要サプライヤーは上場準備中の温州市の大手企業で世界に4つの工場を持ち、アイウェア世界最大手のLUXOTTICA(ルックスオティカ)やCOACHなどとも取引する。

三つ目は出店先に選んだ得物の好調と、ファッションアイテムとしての眼鏡がトレンドになったことだ。

MYOMYが取り扱う商品(SKU、最小管理単位)は現在100以上で、うちアイウェアは20SKU以上。今年は110SKUの新商品を発表する予定で、オンライン販売で単月GMV1500万元(約2億7500万円)を目指す。最近になって中国最大のECモール天猫(Tmall)への出品も始めた。さらに今年は海外進出も重点的に進めていく。
(翻訳・山下にか)

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