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産業用インテリジェントロボット関連のソリューションを提供する「来也科技(Laiye)」は、直近の7000万ドル(約90億円)の調達を含むシリーズC全体で総額1億6000万ドル(約200億円)超を調達したと発表した。Hopu Magnolia Growth Fundのほか優山資本(YOUSHAN CAPITAL)と鼎珮集団(VMS Group)が共同でリード・インべスターを務め、既存株主の光速中国(Lightspeed China Partners)、遠東宏信(Far East Horizon)子会社の上海周済同歴なども出資した。
2015年に設立されたLaiyeは、設立当初は消費者向けAIアシスタント製品とサービスをビジネスモデルとしていた。個人用コンパニオン・チャットボット「小来(Xiaolai)」のほか、2017年初めには法人顧客向けのチャットボットプラットフォーム「吾来(Wulai)」も立ち上げ、産業用スマートロボット関連の総合ソリューションを提供している。通信キャリア、小売、教育、金融、その他の業界でAI技術を活用したサービスの効率化とマーケティングの改善を支援する。同社は2019年6月、RPA(ロボットによる業務自動化)用ソリューションを提供するスタートアップ企業「奥森科技(UiBot)」との合併を発表し、RPAとAIを組み合わせたインテリジェントオートメーション(IA)市場に参入した。この時シリーズB+で3500万ドル(約45億円)を調達、2020年2月にもシリーズCで4200万ドル(約54億円)、2021年4月にはシリーズC+で5000万ドル(約64億円)を調達した。
事業のグローバル化
過去数年間で同社は200社以上の大企業、200以上の政府部門、1000社以上の中小企業にサービスを提供してきた。電力、銀行、保険、通信、小売など複数の業界の法人顧客だけでなく、デジタル政府、公的医療、大学での職業教育などの公益事業も対象で、顧客にはエネルギー企業の「国家電網(State Grid)「中国石油(ペトロチャイナ)」「中国核工業集団(China National Nuclear Corporation)」、「中国銀行(Bank of China)」、通信事業者「中国移動(チャイナモバイル)」、医薬品企業「中国生物製薬(Sino Biopharmaceutical)」、不動産企業「龍湖集団( Longfor Group)」などが含まれる。
Laiyeは製品とサービスモデルが国内で成功したことを受け、海外へ進出し世界の企業へのサービス提供に乗り出す。
海外進出を決めた理由は第一に、中国はAI分野で先行し、さまざまなビジネスシナリオに適した製品開発ができる優秀なAIエンジニア人材が豊富だからだ。第二に、中国企業が置かれた環境は相対的に複雑であるため、より革新的なソリューションが多く生み出されている。第三に、欧米などの先進地域の顧客当たり単価は中国よりも高いからだ。
まずは東南アジアやラテンアメリカなどの成長市場から進出し、徐々に欧州など成熟市場への進出を進めていく計画だという。しかし、顧客当たり単価が高い欧州などの成熟市場では、米RPAプラットフォーム「UiPath(ユーアイパス)」との全面的な競争が避けられない。
Laiyeによると、中国国内では国産品への代替を推する追い風があることに加え、製品技術、ソリューション、サービス上の優位性もあってLaiyeはUiPathに肩を並べており、より多くの顧客が同社サービスの導入に前向きだという。海外市場でも、RPA、対話型AI、IDP(AIによる文書処理)など複数の技術を統合した同社のインテリジェントオートメーションプラットフォームは、、UiPathに劣らず将来のトレンドや主要顧客のニーズに沿ったものとなっている。
Laiyeの海外事業は現地に根付いたチームを編成して現地の顧客にサービスを提供し、地域ごとに拡張を進めている。現在海外チームは100人以上で構成され、東南アジア、ヨーロッパ、アメリカの15カ国で展開するほか、パリに新たに欧州R&Dセンターを設立した。
汪冠春CEOは、2025年には海外市場からの売上高が半分以上を占めるようになる」と予想する。
多くの性能やツールの一体型プラットフォームが求められている
過去1年にわたり大口顧客や特定の業界に絞って戦略を進めたことで、Laiyeは多数の優良顧客と密接に関わってきた。顧客のニーズを聞き取る中で、大口顧客が求めているものは特定のシナリオや特定の部署向けのアプリケーションやツールだけでなく、自動化やインテリジェント化に関わるさまざまな技術やプロダクトをまとめて管理できる一体型プラットフォームであることを認識したという。
汪CEOによると、「RPA + AI」を単純につなぎ合わせてきたこれまでの概念に代わって、現在はオートメーションとAIを真に融合し、RPA、対話型AI、IDP、プロセスマイニング(業務過程の分析・改善)などの機能を組み合わせた完全なエンドツーエンドのソリューションこそが大企業の全体的な問題解決に寄与でき、商機としても最も大きいものとなっている。
新型コロナの流行にもかかわらず、同社は過去3年間で年120%の増収率を実現した。グローバル顧客への拡張戦略を採る中、同社は今後3年間にわたり年3桁の成長率の維持が可能と考えている。
(翻訳・大沢みゆき)
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