無人フォークリフト「J‐ELEPHANT」が資金調達、360度「死角なし」で安全性を確保

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無人フォークリフトを開発・製造する新興企業の「捷象灵越(J‐ELEPHANT)」はこのほど、エンジェルラウンドとプレシリーズAの資金調達で1億元(約19億円)近くの資金調達を完了したと発表した。

エンジェルラウンドはセコイア・キャピタル・チャイナ・シードファンド(紅杉中国種子基金)、聯想之星(Legend Star)、創新工場(Sinovation Ventures)が共同で出資した。プレシリーズAは中国の投資ファンド、線性資本(Linear Capital)と挑戦者資本(Challengers Capital)が共同で出資したほか、既存株主のセコイア・キャピタル・チャイナ・シードファンドと聯想之星がコ・インベスターとして参加した。

呂峰CEOによると、このほど調達した資金は主に、人や障害物を自動的に回避するフォークリフトAMR(自律移動搬送ロボット)製品の研究開発と生産設備拡充に充てられる。

J‐ELEPHANTはスマート製造に注力するロボット会社で、2020年1月に「創新工場人工知能工程院(SINOVATION VENTURES AI INSTITUTE)」によって設立された。創設者の呂峰CEOは北京交通大学の修士課程で学び、ロボット分野で15年の経験を持つ。アリババグループの先端技術研究機関である「アリババDAMOアカデミー(達摩院)」および創新工場人工知能工程院で重要な役職に就き、数多くの国内外の最先端ロボット技術並びに製品開発を主導してきた。

2019年「第四次全国経済普査公報」のデータによると、中国の労働力構造は現在大きな変化の中にあり、第二次産業(工業)就業者の第三次産業(サービス業)への移行に伴い工業セクターは厳しい「労働力不足」に見舞われている。加えて、収束しない新型コロナの流行も製造業での生産活動の不透明感につながっている。

保管、積み下ろし、加工・輸送といった物流全般にかかる時間は製造工程全体の75%を占め、物流コストは総生産コストの30%に達するとされる。スマート製造の普及に伴い物流業界では自動化採用の勢いが増している。

写真:J‐ELEPHANT

呂CEOによると、フォークリフトは1917年の誕生から100年以上経った。初代フォークリフトは手動制御が必要だったが、2世代目フォークリフトは無人搬送車(AGV)であり、光学式ナビゲーションと磁気式ナビゲーションの2つの方法で一定の自動化ニーズを満たす。

「一方、無人搬送車(AGV)も各種設定は人が行い、人が設定した経路に基づいて走行するため、走行スペースや操作効率、安全性などで限界があり、本質的には従来のフォークリフトと同じだ」と語る。

そのためJ‐ELEPHANTは、第3世代の無人フォークリフトとしてAMRを発売した。「JE-200U」「JE-1200U」「JE-1200UH」の3バージョンがあり、さまざまなサイズの商品を自動搬送したいという顧客のニーズを満たすことができる。

呂CEOは、J‐ELEPHANTのAMRは基盤部分で独自のイノベーションを複数実現したと紹介する。

第一に手動フォークリフトとAGVには死角がそれぞれ25%と40%ずつ存在する。同社のAMRはフォークリフトの形状を完全に変え、360度全体を感知できるようセンサーのレイアウトを改善することで死角ゼロを実現した 。

第二に過去2世代のフォークリフトよりも回転半径が小さい上、所定の位置で回転できるといった高い柔軟性と小回り性能を備える。

第三に安全性も高い。米国ではフォークリフト1台が寿命を迎える前に重大な事故に遭遇する確率は90%にも達する。J‐ELEPHANTのAMRは伝統的なフォークリフトの形状から脱却した。呂CEOは「コンパクトなU字型の設計によってフォークリフトと荷物が常に一体で運行し積載の安全性が高まった。また、空の状態でもフォークリフトの重心が保たれるため運行の安定性と効率が向上した。」と語る。

(写真:J‐ELEPHANT)

呂CEOによると、中国の産業用ロボットの一部は安定性が不十分で、多くのメーカーの製品はセンサーやロボットアームなどハードウェア装備の後付けが必要だ。同時にコンベアベルトなどの設備と連携させるなど高度にカスタマイズする必要があることにも触れ、同氏は「標準化製品の製造を目指したい」と述べた。

AMRフォークリフトのほか、同社はプラットフォームタイプの搬送ロボットと自社開発の産業用インテリジェントデジタルプラットフォーム「JMS」も展開し、製造現場の物流プロセス全体に適したスマートロジスティクスのソフトウェア・ハードウェア一体型ソリューションを提供している。

現在、J‐ELEPHANTの次世代無人フォークリフトAMRは中・大型貨物の搬送を中心に多くの世界大手企業に採用されており、その範囲は製薬、食品、半導体などの業界を網羅する。呂CEOは、将来、J‐ELEPHANTがコールドチェーン業界向けにより多くの製品を発売する方針を示した。
(翻訳・大沢みゆき)

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