36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
2013年に「第4次産業革命(インダストリー4.0)」の概念が発表されて以来、中国の製造業界では「スマート・マニュファクチャリング」が注目を浴びている。2015年に提唱された「スマート・マニュファクチャリング5カ年計画(2016~20年)」から、「中国版インダストリー4.0」と形容される産業政策「中国製造2025」に至るまでの間、自動運転、新エネルギー、人工知能などの新興産業が中国経済成長の最前線と位置付けられてきた。では、これら産業チェーンの上流に位置する半導体分野に、成長の機会やけん引力はもたらされているのだろうか?
先日、浙江省海寧市で開催されたスマート・マニュファクチャリングと産業イノベーション関連のフォーラム「2019杭州湾論壇」では、数々の半導体関連プロジェクトが紹介された。中でも一大焦点となったのはチップ設計・製造で、その基盤技術はもちろんのこと、STEAM教育、スマート工場、セキュリティ、自動運転など各分野への応用技術にも注目が集まった。以下は代表的なプロジェクトだ。
「百及科技(Baiji Keji)」(マイクロチップ・ナノチップ製造)
「深圳中徳微納製造創新中心(Sino-German Micro&Nano Manufacturing Innovation Center)」がインキュベーションを担当したプロジェクト。アクティブプローブ技術を中核としたマイクロ製品・ナノ製品の研究開発、製造、販売を行う。特に、プロセスルール(CPU配線の細さ)に強みを持つ。
中国では現在、ハイエンドチップの9割以上を輸入に頼っており、その中核技術は海外企業の独占状態となっている。半導体製造装置世界最大手のオランダ企業「ASML」では、量産品のプロセスルールを7nm(ナノメーター)としているが、実質的にはこれを1nmにまで縮める技術を有している。一方の百及科技では、これを2nmまで達成している。プロセスルールが3nm以下になると単一電子トランジスタを省エネ化し、応答速度も上げることができる。
「晶砂科技(GOLDENSI)」(OLEDマイクロディスプレイ、AR・VR)
OLED(有機EL)マイクロディスプレイの部品や、AMOLED(アクティブマトリクス式有機EL)用ドライバICの研究開発、産業化を手がけるプロジェクト。業界をリードする技術を多く自主開発してきた。
OLEDの開発には、主に3つの方向性がある。一つ目は、サムスンや「柔宇科技(ROYOLE)」に代表されるフレキシブルディスプレイ。二つ目は、独照明機器メーカー「オスラム」やフィリップスに代表される半導体照明(SSL)、三つ目は米高精細ディスプレイメーカー「eMagin」やソニー、晶砂科技が取り組んでいるマイクロディスプレイだ。
OLEDは次世代の情報表示技術とされ、画素応答速度は液晶ディスプレイの1000倍、解像度やコントラスト比も高いなどの特長がある。その応用分野は多岐にわたり、軍事用途では戦闘機用のヘッドマウントディスプレイ(HMD)や銃の照準器、民間ではAR(拡張現実)やVR(仮想現実)、一眼レフカメラなどに利用されている。
「首感光電(Vomma Optech)」(3Dライトフィールドカメラ)
バイオミメティックス(生物模倣技術)による複眼レンズを採用し、中国で初めて知的財産権を有するライトフィールドカメラを生み出したプロジェクト。
ライトフィールド技術は二つに大別できる。一つは、グーグルや中国のVR開発企業「叠境数字科技(DGene Digital Technology)」のように、既存のカメラを用い複数のアングルから撮影して3Dデータを習得するアプローチ。もう一つは、米コンシューマー向けライトフィールドカメラ開発「Lytro」、独工業用ライトフィールドカメラ開発「Raytrix」や首感光電のように、単体のカメラに複眼レンズを搭載して3Dセンシングを行うアプローチだ。
ライトフィールド技術による3D画像生成は広範囲な産業に応用が可能だ。生産ラインの部品検査、ディスプレイパネルや電子基板の検査、3Dセンシング、ロボットアームの3D測位など3次元計測のほか、ヒトの顔や高反射材の3Dモデリング、虹彩認証、セキュリティや精密医療(PM)などにも活用されている。
「藍宙科技(LANDZO)」(教育用ロボット)
教育カリキュラムとプラットフォームをかけ合わせたコア製品を展開するプロジェクト。スマートカーコンテストなどの開催によって業界内での影響力を拡大している。幼児向けカリキュラムのほか、プログラミングやロボット制作を中心とする小中生向けカリキュラム、IoTやドローンを中心とした高校生・大学生向けカリキュラムなどを設ける。STEAM教育が重要視されるようになるとともに、AI技術と教育概念を融合した教育用ロボット製品は新たな潮流を作りそうだ。
「微度芯創新科技(MICROCREATIVE)」(ミリ波技術、セキュリティ画像生成、自動運転)
ミリ波やテラヘルツ波を用いたチップの設計を手がけ、セキュリティ画像生成を軸に、関連のICやシステムを提供するプロジェクト。さまざまなシーンでの精度やコスト、監視目標など異なるニーズに対して階層化の概念を導入し、ミリ波を活用したAI監視カメラやセキュリティモニター、セキュリティーゲートも発表している。
自動運転の世界では、LIDARがミリ波レーダーに取って替わってきている。しかし、セキュリティ分野ではミリ波技術が依然として主流だ。ミリ波技術の進化に伴って、将来的にレベル3以上の自動運転車に搭載される可能性も期待される。同社も自動車用レーダー開発を将来の方向性の一つとしている。
(翻訳・愛玉)
36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録