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自動運転システム開発の「AutoBrain(奥特貝睿)」が、先ごろ自動運転レベル3(L3、条件付運転自動化)のハイウェイパイロット(HWP)としては世界初となる量産型自動運転システムを開発したことがわかった。すでに中国内外の自動車メーカー数社と乗用車の量産をめぐり、契約を交わしているという。
AutoBrainの量産型のL3HWP自動運転システムは、先進運転支援システム(ADAS)とアルゴリズム、ドメインコントローラーで構成されており、高速道路におけるL3の自動運転を実現している。このシステムに搭載されているドメインコントローラーは同社が独自に開発したもので、自動車部品の基準に適合した低消費電力型ARMコア搭載FPGAを採用している。
混雑した道路上でL3の自動運転を実現するトラフィック・ジャム・パイロット(TJP)からL3のHWPへ――。自動運転はますます身近になりつつある。
実際に、独アウディはフラッグシップセダン「A8」の最新モデルに世界で初めてL3のTJP機能を導入している。TJPは、HWPと異なり、速度が時速60キロメートル以下で前方に車両がある場合に限り自動走行を行う。この条件から外れると、ドライバーに運転操作に戻るよう直ちに通知する。
AutoBrainが開発したL3HWP自動運転システムは、TJPのあらゆる機能に加え、最高時速120キロメートル、高速道路という条件下での「点と点を結ぶ」自動運転機能を備える。
同社の調べによると、新製品の量産型自動運転システムの場合、自動運転から手動運転に切り替わる頻度は100キロメートルに1度以下だという。緊急事態発生時には、音声で手動運転への切り替えを伝え、車両は減速または緊急停止する。
L3HWP自動運転システムの実現は、車両に任せられる自動運転の場面が増えることを意味する。高速道路の運転は一般的に無味乾燥なものだが、HWPによりドライバーが心身ともにリラックスできる時間が増えるということだ。また、自動運転の車両は交通ルールを遵守することから、道路状況が比較的シンプルな高速道路上で、ドライバーの疲労に起因する事故発生のリスクを低減できるという側面もある。
AutoBrain創業者兼CEOの彭永勝氏は、ハードウェアの価格は、今や自動運転車メーカーの商用化を制約する主な要因ではないと強調する。例えば、数年前にフォードの高級車ブランド、リンカーン「MKZ」を改造した際はソフトウェアやハードウェア、人件費など全体で100万元(約1600万円)以上のコストがかかったが、同社の量産型自動運転システムの場合、現時点で導入コストは1台当たり1万元(約16万円)以内に抑えられるという。
アウディがL3のTJP機能を備えた「A8」新型車を発売したことで、レベル3の自動運転はもはや遠い幻想ではなくなった。大手自動車メーカー各社も製品の量産化を急いでいる。AutoBrainは中国の自動運転技術を手がけるスタートアップ企業として、大手メーカーと協力し、L3HWP搭載車の量産化に取り組んでいる。
AutoBrainとは
AutoBrain創業者兼CEOの彭氏と共同創業者の李明喜氏は2000年に自動運転技術の研究を開始した。中国における自動運転技術研究の先駆けと言える。
20年近く研究を積み重ね、彭氏が率いるチームは「中国インテリジェント自動車フューチャーチャレンジ(IVFC)」で何度も優勝した。2015年、彭氏は同じくチームの責任者だった李氏、米テスラで「オートパイロット」に携わった中国系エンジニアのYolanda Du氏とともにAutoBrainを立ち上げ、北京と天津に研究開発センターと生産・テスト拠点をそれぞれ構えた。
2017年、AutoBrainは正式に登記・設立され、エンジェルラウンドで「中関村発展啓航産業投資基金(Zhongguancun Development Qihang Industrial Investment Fund)」と「盤谷創投(Grains Valley Venture Capital)」から資金を調達した。以前から複数の技術や製品を手がけていたため、2017年には黒字化を果たし、自動運転関連のスタートアップとしては国内で数少ない黒字企業となっている。
(翻訳・池田晃子)
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