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絵本レンタルプラットフォーム「博鳥絵本(Boniao Huiben)」を運営する「杭州博享科技(Boxiang Science And Technology)有限公司」がシリーズAで約1000万元(約1億6000万円)の資金調達を完了した。リードインベスターは「清科創投(Zero2IPO Ventures)」、コ・インベスターは「中寰投資管理(Zhonghuan Investment Management )」。調達した資金は、ラインナップの拡充や物流ネットワークの構築、市場開拓などに充てる。同社はこれまでに数ラウンドの資金調達を実施している。
サービス開始は2017年12月。オンライン注文で読みたい絵本が自宅まで届き、返却時は宅配業者が集荷に来てくれるという会員制サービスを展開する。送料は無料。注文は、微信(WeChat)のミニプログラムや公式アカウントなどを利用する。
中国の絵本市場は現在、300~500億元(約4700億円~7800億円)規模にとどまり、中国の子どもが1年間に読む絵本の数は、三級~五級都市や農村まで含めると1人当たり10冊に満たない。これに対し、欧米や日本などは50~100冊に上る。ただ、中国の絵本市場も向こう5~10年で5倍以上の拡大が見込まれており、中でもレンタルという手法はその過程で重要な役割を果たすとみられている。
「新レンタル経済」において、子ども向けの絵本は少ない元手で大きな収益を得るビジネスの1つに数えられる。顧客ターゲットは幅広く、利用頻度も高い。絵本を買っても1度読んだら本棚の肥やしになっている家庭も多いが、レンタルを利用すれば費用対効果が高まり、選択肢も広がる。衛生面や利便性といった懸念が払しょくされれば、購入からレンタルに切り替える層は多いはずだ。
創業者の胡迪軍CEOによると、同社はこれまでユーザー体験の向上に重心を置いてきた。ラインナップの充実に努めた結果、現在の蔵書数は100万冊に迫り、SKU(最小在庫管理単位)は1万5000を超える。ユーザーの幅広いニーズに応えるため、絵本以外に音声ペンなどの知育玩具にも手を広げたところ、サービス開始から2カ月余りで、月間注文数が全体注文数の10~15%を占めるほどの人気となった。会員プランも月間や年間単位で無制限に借りられるコースや、各家庭に合わせて厳選した絵本や雑誌、玩具を月替わりで届けてもらえるコースなど複数から選べる。
集客面では、WeChatミニプログラムや公式アカウントを中心とした自社構築のチャネルからのアクセスが全体の8割を占める。登録ユーザー数は100万人、会員数は10万人を超える。1日当たりの平均注文数は約1500件、多い時は3000件を上回る。絵本の調達先は出版社や絵本図書館、絵本の代理店など数十社に及び、一般家庭から不要になった絵本の回収も行っている。
絵本は紙質が丈夫で防水処理も施されているため、破損しにくいという利点がある。破れたり汚れたりした場合は状態に応じて、廃棄処分にしたり寄贈したりする。これまでに安徽省の学校数十校に寄贈した。今後は中古品を取り扱う通販サイトで安く販売することも検討している。
現時点の月間注文数は5万件を超え、リピート率は70%に上る。今年は会費収入が5000万元(約7億8000万円)に達する見通し。採算を確保しつつ粗利益率は20%程度に保ち、さまざまなキャンペーンを通じて引き続きユーザーに利益を還元していく方針だ。
胡CEOは次の段階として、市場の開拓を一段と進めるとともに、華北エリアに新たに倉庫を建設し、物流コストの削減を図る考えを示している。物流ネットワークの構築により、物流コストが最大で3分の2に削減されるという。
本部は浙江省杭州市。現在の社員数は40人余りだが、年内に100人まで増やす予定。胡CEOはかつて中国EC最大手アリババグループで辣腕をふるった人物だ。社内の中核メンバーはいずれもアリババからの転職組で、長年にわたってインターネットビジネスに携わった経験を持つ。
(翻訳・鈴木雪絵)
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