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インド発のホテルベンチャー「OYO Hotels & Homes(オヨホテル)」が、評価額100億ドル(約1兆700億円)を目指し、中国で開業して19カ月となった。現在、中国市場では、現地エコノミーホテルチェーン大手「華住酒店集団(HUAZHU HOTELS GROUP)」に次ぐ存在となっている。OYOの中国法人は、このために単独での資金調達を計画中だ。中国はすでに同社にとって二番目に大きな市場となっており、公式発表では国内に1万件の加盟店を有している。
しかし、同社の歩みは決して順調ではない。
OYOホテルの資金調達はすでに行き詰っており、先月になって全職員の約25%を削減するという大規模リストラのニュースも流れた。
新たな資金調達を首尾よく行うためには、客室数の増加が重要な審査指標になる。しかし、自社の資金が枯渇しかねない無理なコストで、十分な客室数を確保しようとすれば、破たんは避けられない。次の資金調達を完了させるためには、2倍の量の客室数、つまり100万室の客室(同社のデータでは現在、加盟店の客室総数は50万室)が必要になる。
しかし、より懸念すべきなのは資金調達ではなく、同社の急速な発展と同社自慢のビジネスモデルそのものにある。同社の関係者から、目覚ましい発展の裏側には、管理の不備や加盟店との提携解約などが生じていることが分かった。
同社が急速な拡大を遂げた理由として、加盟の敷居が低いことがある。加盟料は免除され、契約は1年更新で、同社のPMS(ホテル管理システム)の使用や同社による経営管理を強制されず、売り上げの2~8%のコミッションを収めるだけでよいなど、ホテル側にとっては好条件だ。しかし、同社の加盟店の多くは集客増につながっておらず、OYO自体の営業も芳しくない。
ある調査では、中国各地にある加盟店20店のうち、契約を更新する意思を示したのはわずか4店で、同社が5月に発表した「更新率97%」という数字から大きくかけ離れている。加盟店のうちで実際に提携状態にあるのは全体の40%にも満たないとのことだ。つまり、同社には事実上リストにホテル名を載せているだけで、売り上げに貢献していない加盟店が多数存在しているということだ。しかし、こうした名ばかりの加盟店も、「全国で客室数50万室」という膨大な数字を維持することには貢献している。
OYOの元従業員によると、同社のビジネスモデルの要は集合効果や大規模化であり、客室数の安定した増加は非常に重要で、出資者が最も注目する点だ。そのため、同社は有名無実の加盟店の存在を許しているのだ。
また、ある調査によると、OYOのPMSシステムを実際に用いている加盟店は前出の20店中わずか1店だけだという。大多数の店舗が使用しない理由として挙げているのは、使いづらいためということだが、同社が各店舗にこの使用を義務付けていないことも一因だ。そのため、同社は客室情報や経営データの実態を把握できない状態に陥っている。各店舗の重要データは各店のオーナーが独自に管理しているため、売り上げの不正申告やコミッション収入の低下を招いている。
一部の店舗は、宿泊客にシステム上で予約取り消しの手続きをさせ、来店後にフロントで直接決済してもらうといった不正と行っている。実際には客を宿泊させていても、データ上ではその記録が残らないため、コミッションの支払いを回避できるのだ。
昨年10月、中国の生活関連サービス大手の「美団点評(Meituan Dianping)」やオンライン旅行会社中国最大手の「携程旅行網(シートリップ)」が自社のホテル予約サイトからOYOを除外したため、OYOの加盟店から不満が高まり、収益が逼迫する事態となった。これに対応するため、OYOは美団点評と携程旅行網にそれぞれ4億元(64億円)、1億8000万元(約29億円)という膨大なシステム利用料などを払い、これらのサイトに再掲載されることになったが、詳細情報は掲載してもらえず冷遇されている。
冒頭でも述べたが、OYOは全国で1万店の加盟店に50万室の客室を有しているが、月々のコミッション収入は1300万元(約2億1000万円)前後なのに対し、月々の支出は1億5000万元(24億円)に上るという火の車の状態だ。客室数の増加を急ぐあまり、各店舗でのサービスや管理、監督が追い付いていないことも明白だ。
OYOは現在でも中国市場を重要視しており、投資を継続する姿勢を示している。ホテル業以外に、シェアオフィスやリラクゼーションスペース、シェアキッチン、カフェなどとの提携や広告業などへの参入も検討しているが、その道のりは決して平たんではない。
(翻訳・虎野)
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