仮想通貨取引のリスク診断ツール運営「KEKKAI」、プレシードラウンドで資金調達

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Web3のセキュリティ関連サービスを手がける「KEKKAI」がプレシードラウンドで5000万円を調達した。出資したのは日本のベンチャーキャピタル「Skyland Ventures」だ。

KEKKAIは日本のスタートアップで、仮想通貨取引の安全性向上と資産価値リスクの低減に関するサービスを提供する。創業者の杜瑪氏によると、KEKKAIの設立は2023年初めだがプロダクトのリリースは22年12月だという。

Web3セキュリティと言ってもさまざまなジャンルがあるが、杜氏は、トランザクションを実行するインフラの一つであるウォレットについて、その多くが安全に利用できるとは言い難いと感じた。トランザクション実行時の署名リクエストは一般ユーザーには内容が分かりにくく、ここに潜むセキュリティリスクに気づくのは難しいと同氏はみる。「KEKKAI」は、トランザクション実行時にリスクが検出されると画面に警告を表示する。

KEKKAIのロジックについて、杜氏は「トランザクションデータの分析とシミュレーション、2つのステップでウォレットの安全性を高めている」と説明する。KEKKAIは、取引発生時にEVM(イーサリアム仮想マシン)が実行した取引データを通して、スマートコントラクトに関連するオペコード(命令の種類を表わす識別番号)を分析する。これによって取引状態を予想する。KEKKAIはこれらのプロセスを経て取引にNFT詐欺などのセキュリティリスクが存在するか否かを総合診断し、結果(例えば警告)を表示する。

杜氏は「取引上のセキュリティをシミュレーションで分析するのは容易ではない。例えば、シミュレーションそのものを正確に行うのは難しい。一つ一つの進行中の取引と、まとめてトランザクションブロックに反映されたが間もなくそれぞれ攻撃を受けてロールバック(処理の取り消し)になった取引とは、いずれもシミュレーション結果の正確性に影響する。KEKKAIは数カ月かけてこの問題を改善した」と話す。

同社はKEKKAIの機能を強化している。KEKKAIは現在主にブラウザーの拡張機能として提供しているが、パソコンのセキュリティダッシュボードやモバイル端末のアプリなどの方法も模索中だ。そのため、将来的にはより多くのウォレット提供企業がKEKKAIの顧客になる可能性もある。このほか、KEKKAIは主要なタイプの詐欺に対応すると同時に約70のEVMが実行するオンチェーン(ブロックチェーン上に記録される取引)について、シミュレーションやリスク判断を行う。杜氏はこれが同社の強みだと考えている。

日本のWeb3市場が拡大する中、Web3セキュリティ事業もチャンスが大きいと杜氏はみる。KEKKAIのチームは現在9人で、杜CEOはこれまで早稲田大学に在学しながらSaaS、SNS、ブロックチェーンのインフラなどで複数回の起業を経験してきた。他のメンバーも大型SaaSプロダクト、オンチェーン分析、ブロックチェーンのセキュリティなどの分野で豊富な経験を有する。

KEKKAIは今後Web3のセキュリティ分野で新しいサービスに挑戦し、サービスを拡大する計画だ。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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