プール清掃もロボットが代行する時代へ。中国企業、高機能・スマート化で業界変革に挑む

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プール清掃ロボットを開発する中国スタートアップ企業「星邁創新(Xingmai Innovation)」がこのほど、エンジェルラウンドで2億元(約38億円)を調達した。出資したのは順為資本(Shunwei Capital)、源碼資本(Source Code Capital)、高瓴創投(GL Ventures)、雲沐資本(Yunmu Capital)、蘇州市呉中金融控股(Wuzhong Financial Holdings)。

調査会社の華経産業研究院によると、世界のプールの数は増加傾向にあり、2021年の約2888万カ所から、22年には3000万カ所を突破すると見込まれている。現在、世界のプール清掃市場で清掃ロボットが占める割合は約19%にとどまっているが、今後、人件費の高騰やプールロボットの自動化・スマート化レベルの向上により、清掃ロボットがさらに普及していくと期待されている。

星邁創新を創業した王生楽CEOによると、北米ではプールの清掃を2~3日怠ると、木の葉や砂、藻などで汚れてしまい使用できなくなるという。自宅にプールを設置している潜在顧客は一般的に購買力があり、時間コストに対する意識も高いため、プール清掃ロボットを活用すれば、自分で掃除したり業者に依頼したりする時間や手間を減らせると考えるだろう。

しかしプールロボット業界はプレーヤーが少なく市場集中度が高いうえ、業界内の競争がないことから、トップ企業の製品革新力がひどく欠落している。その結果、20年以上にわたりロボットの機能に画期的な進展は見られなかった。

王CEOは「エコバックス(科沃斯)」や「Dreame(追覓)」などロボット掃除機を手がけるトップメーカーの出身。ロボット掃除機と比べると、プールロボットは性能やユーザー体験の面で5~8年遅れており、ロボット掃除機の製品構想でプールロボット業界を変革すれば、大きなビジネスチャンスが期待できる。

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プールロボットの改良はスマート性能、移動能力、清掃能力、使い勝手の4つの分野からアプローチする。星邁創新は強力なスマートルート設計やナビゲーション技術を生かし、初代製品「Beatbot」で清掃効率やユーザー体験を大幅に向上させられると見込む。

同製品は壁面まで立体的に清掃できるほか、壁面・底面両方に対応した矩形走行やコーナー部での自動ターン機能を備えている。コードレスのため、面倒なコードの収納も不要だ。画期的なのはアプリのマップ表示機能で、ロボットの走行軌跡やリアルタイムの状態をユーザーが確認できるようになっている。

高度なコア技術を作り上げるため、星邁創新は独自にカスタム開発したブラシレスモーターを採用し、プール清掃ロボットの感度や連続使用時間を大幅に改善した。その上で、全く新しい超音波センサーを採用し、周辺環境を把握するさまざまなセンシング手法や自社開発の運動アルゴリズムと組み合わせ、水中でも正確なナビゲーションとルート設計を実現することに成功した。

星邁創新は長江デルタ地域に拠点を構えており、同地域のロボットサプライチェーンを最大限に活用できるだけでなく、地元の産業の集積効果で優秀な人材を集めることができている。現在、製品開発や量産準備が急ピッチで進んでおり、初代製品は2024年初めに発売される予定。

(翻訳・畠中裕子)

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