コーディング不要でアプリ開発できる、ローコードサービスでITコストを70%削減

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企業がIT化やデジタル化を推進するには、自社システム部での開発か市販ソフトウエアの購入、外部業者への委託といった選択肢しかなかった。だが、自社開発では膨大なコストや時間がかかり、市販ソフトではカスタマイズされていないため使い勝手が悪い。外部委託では品質面での不安が付きまとう。それでも市場環境や業務上のニーズなど社内外の変化に迅速に対応するため、企業は常に最適化されたシステムを活用する必要がある。

「ローコード開発プラットフォーム」はこうした企業の悩みに新たな解決策をもたらした。ローコード開発とは、コーディングが不要または最小限のコーディングでアプリケーションを開発することを指す。企業はアプリ開発に費やす人的コストを削減できる上、数カ月から数年を要した従来の開発期間を大幅に短縮することが可能になる。

米調査会社フォレスター・リサーチは2020年までにローコード開発プラットフォームの市場規模が155億ドル(約1兆6700億円)に達するとの見通しを示している。ローコード開発市場は中国より海外の方が成熟しており、米グーグルの「App Maker」やマイクロソフトの「PowerApps」、ポルトガルのOutSystemsが手掛ける「OutSystems Platform」、独シーメンス傘下の「Mendix」などすでに多くのサービスが提供されている。

このうち、OutSystemsは2018年6月、米投資ファンドKKRとゴールドマンサックスから3億6000万ドル(約388億円)の資金を調達し、ユニコーン企業(評価額10億ドル以上の未上場企業)の仲間入りを果たした。

一方、中国では2015年にローコード開発プラットフォーム「軽流(QingFlow)」を手掛ける上海易校信息科技(Shanghai YiXiao Information Technology)が設立された。同社の創業メンバーは上海交通大学の学生だ。公表データによると、「軽流」を活用すれば、企業のITコストは70%削減でき、開発期間は従来の6カ月から1週間へと96%も短縮できるという。

ローコード開発プラットフォーム「軽流」のPR動画

「軽流」の活用例――アフターサービス向けに構築したシステム

活用できる業務範囲は建設プロジェクト管理やアフターサービスなど一般的なものが中心であり、業種や企業の規模は問わない。収益モデルとしては、SaaS(Software as a Service)型ローコード開発プラットフォームの利用料を年単位で顧客から徴収している。Proバージョンは年間5699元(約8万9000円)、アルファ版は1万3699元(約21万5000円)だ。利用する人数分で計算するため、通常は1社当たり年間数十万元(数百万円)に上る。コンサルティングサービスも展開し、利用料以外の収益源となっている。

創業者兼最高経営責任者(CEO)の薄智元氏によると、「軽流」は2017年にローンチし、翌2018年から有料化を始めた。現在は400社以上が有料サービスを利用している。顧客には家電大手ハイアールや中国政府系コングロマリットの華潤集団、銀聯カードの決済システムを運営する銀聯商務(China UMS)、ハルビン銀行など大手が名を連ねる。

「軽流」がサポートする業務範囲

同社は2018年11月にプレシリーズAで約1000万元(約1億5600万円)を調達した。現在はシリーズAラウンドでの資金調達を進めている。

(翻訳・鈴木雪絵)

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