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競争の激しい中国のティードリンク市場では、多くのブランドがそれぞれ独自のコンセプトを打ち出し、差別化を図っている。2020年ごろには、中国医学に基づく治療や健康指導を提供する「中医館」や中国伝統の「中薬(漢方薬)」を処方する薬局が、漢方薬の材料とミルクティーをブレンドした「漢方ミルクティー」を打ち出し、併設の喫茶室などで提供するようになった。一時は若者の間で話題となり、22年まではソーシャルメディアを賑わしたものの、現在はすっかり勢いが衰えている。
そんな中、流行に敏感な若者が集まる四川省成都市や上海市、広東省広州市などの大都市では、「漢方コーヒー」が静かなブームを呼んでいる。地元の中医館や薬局がコーヒーブランドと提携するケースも多いが、コーヒーブランドが独自に開業した専門店もある。
漢方コーヒーのメニューは、「紅景天(コウケイテン)ラテ」や「「枸杞(クコ)ラテ」「羅漢果(ラカンカ)アメリカーノ」「金銀花(スイカズラ)コールドブリュ―」など、さまざまな漢方をブレンドしたコーヒー。店舗のインテリアは伝統的な中医館や薬局をモデルとしており、昔ながらの処方箋を模した伝票が使われている。問診や脈診を行い、来店者の体質に合った漢方コーヒーを選んでくれる店もある。
あるバリスタは「漢方コーヒーは、単なる客寄せの仕掛けだと思われてしまう可能性もある」と指摘する。中国の若者は新しいものが大好きで、最近は中国伝統の健康維持法「養生」に対する関心も高まっている。漢方コーヒーが若者の好奇心を刺激するのは間違いないが、漢方薬の風味が強すぎると「変な味で受け入れられない」と嫌われ、風味を抑えすぎても「普通のコーヒーと変わらない」とそっぽを向かれる可能性がある。漢方コーヒーが一過性のブームに終わらず定着するか、今後の動向に注目したい。
(36Kr Japan編集部)
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