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中国EC最大手アリババグループの会長のジャック・マー(馬雲)氏が、その創業した時価総額4500億ドル(約45兆円)の会社からあと数日で引退することとなる。
今年8月末、マー会長のスケジュールは非常にハードであった。重慶での「中国国際スマート産業博覧会」への参加、杭州での「2019年世界女性起業家会議」への参加、上海での「2019世界人工知能大会」への参加。また、自ら山東省での「第七回中国『タオバオ(Taobao)村』サミット」にも参加し、農村部でのタオバオEC事業の宣伝を行った。
「これは私がアリババ会長の身分で参加する最後の公開イベントとなる。農村部が非常に重要だと思っているからだ」マー会長は最後の公開イベントの参加に山東省を選んだ理由をこう述べた。
2014年、アリババが米国で上場した後、マー会長は「グローバル化、農村部戦略、ビッグデータとクラウドコンピューティング」というアリババの三大戦略を発表した。なかでも、農村部戦略が重要であるとしており、農村部向けタオバオが設立され、そこでは農村部商品の販売に力が入れられた。ただし、当時は同じくECサイトの競合相手の「京東(JD.com)」と、中国の1級と2級都市部での競争の最中であり、アリババのEC業務の中心は依然として消費のレベルアップにあった。
近年、「拼多多(pinduoduo.com)」等のソーシャルメディア型ECサイトの成長が著しく、農村部を含む中国の「下沈市場」(地方市場のこと)には、大きな成長の余地が見込まれるようになった。これにより、アリババグループの戦略も調整され、「拼多多」と対抗する集団購入サイト「聚划算(juhuasuan.com)」を再開することにより、農村部におけるタオバオ事業のアリババグループ内での位置づけも重要になったという。
2009年の最初の「タオバオ村」(タオバオを利用したEC事業が中心的な産業となっている村)の出現から、10年が経過した。20年前にアリババを起業したばかりの時代と比べ、農村部の市場も含めて、中国社会のリテールビジネスの生態に大きな変化が起きている。
中国国家統計局のデータによると、2019年の上半期において、中国の小売りの総売上高は19兆5210億元(約290兆円)で、前年同期比(名目)8.4%の増加で、インフレの要因を除いた実際の増加率は6.7%になった。そのうち、ネットを通じた売上高は4兆8161億元(約72兆円)で、前年同期比で17.8%の増加となった。
中国GDPの伸びは減速を続けているが、中国人の消費に対する情熱は徐々に回復しており、強い内需力を示している。コンシューマーブランドもECプラットフォームも利益をあげている。京東、「唯品会(vip.com)」、アリババ、拼多多など各ECサイトの第2四半期の財務諸表も好調だった。
「中国タオバオ村研究レポート(2009~2019)」によると、2019年には、中国のタオバオ村は4310ヵ所、タオバオ町は1118ヵ所となる。このうち、500近くのタオバオ村の年間取引額は1億元(約15億円)を超え、タオバオ村トップ100の合計年間取引額は1000億元(約1兆5000億円)を超えている。ここ1年間で、中国全土のタオバオ村は25億9000万件の取引を終え、年間売上高は7000億元(約10兆5千億円)を超え、雇用を683万件創出したという。
現在、マー会長は農村部でのEC事業の発展に対して依然として自信を持っている。「今時の農村女性の嫁入り道具として一番いいのは、タオバオの店舗を持つことだと聞いた」とマー会長は話す。
(翻訳・小六)
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