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これまでは高音質のハイレゾ音源を聴くのに、少なくとも数万元(数十万~百数十万円)はする専門的なオーディオ設備が必要だったため、Hi-Fi(ハイファイ)音楽はごく一部の人しか楽しめなかった。オーディオ機器およびソリューションを手がける「曠世科技(Questyle Audio)」は小型でポータブルな機器を通じて、より多くの人にハイレゾ音源を伝え、一般の人にも高音質で音楽を楽しんでもらいたいと考えた。
2012年に設立された同社は、特許を取得した「電流モードアンプ」技術をベースにハイファイ音源再生機器の簡素化に取り組み、「曠世之声(Questyle)」ブランドを立ち上げてDAC(デジタルアナログコンバータ)搭載ヘッドホンアンプ、プレーヤー、イヤホンなどの製品を展開している。
同社が最近発表した有線イヤホン「NHB12」にはDAC搭載ヘッドホンアンプの機能が備わっている。アップルのロスレスオーディオを聴くことができる上、アップル製品との互換性を保証するMFi(Made for iPhone/iPod/iPad)認証も取得しており、Apple Storeでオンライン販売される予定だ。
チップ開発からロスレス対応イヤホンへ
高音質な音源に対する需要と市場はずっと存在しており、Apple MusicやテンセントのQQ音楽などはここ数年相次いで高品質な音楽サービスを発表した。しかし、ユーザーが有料の音源を購入しても、ロスレス音源を楽しめるとは限らない。
例えばアップルは以前から、Bluetooth接続はロスレスオーディオに対応していないと説明している。iPhoneやiPadでロスレスオーディオを聴くには、ケーブルや外付けのDACなどを用意しなければならない。
曠世科技によると、スマホからイヤホンに無線で伝送する際にロスが発生するため、Bluetooth接続にした場合はロスレスオーディオではなくなるという。
そのため、ハードウエアのサポートがより重要になる。専用のオーディオ設備を用意するほかに、近年人気なのはDAC搭載ヘッドホンアンプで、スマホやパソコンなどでも高品質の音楽が聴けるようにするというものだ。曠世科技がリリースした初代DAC搭載ヘッドホンアンプは、2021年に韓国で発売されると初日に600台を売り上げ、それから1年間の世界販売台数が2万台を超えるヒット商品となった。
このヘッドホンアンプは小型とはいえ、ユーザーは機器を別途購入して接続する必要があった。これに対し、イヤホン・NHB12はアンプをつなぐという手間を省き、1つのイヤホンにDAC、伝送、再生の全機能を集約した。
これは単に機能をまとめるだけでなく、音質、サイズ、消費電力、アップル認証などの課題もクリアする必要があり、同社の技術や産業チェーンの長期的な蓄積が試された。
技術力については業界の折り紙付きだ。業界内で「Jason’s CMA」という言葉が流行ったことがある。Jasonは曠世科技の創業者・王豊碩氏、CMAは同社の特許技術「電流モードアンプ(Current Mode Amplification)」を指す。この技術はもともと、電波通信や動画処理に用いられていたもので、王氏の手によって小型化とオーディオ分野での活用が実現した。
同社はCMA技術によって音質を確保し、チップ技術によってイヤホンなど機器のサイズを小さくしてきた。機器およびソリューションのサプライヤーとして、チップの研究開発には多額の資金を投じている。王氏はICエンジニアでもあるため、同社はこの2年間に環旭電子(USI)と共にオーディオ用システムインパッケージ(SiP)を開発し、それをDAC搭載ヘッドホンアンプやNHB12などの製品に採用することで機器の小型化を進めている。
現在は自社ブランド製品を展開するほか、国内外のオーディオブランドにソリューションを提供しており、仏FocalやRubyoungなどと提携している。また、新エネルギー自動車や高級住宅などの備え付けオーディオに関するソリューションの提供などで業界の一部トップ企業と提携している。
(翻訳・大谷晶洋)
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