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「長嶺資本(Long Hill Capital)」の投資副総裁の梅松氏、シルバー層向けショート動画「北京大媽有話説」の創業者の辺長勇氏、同じくシルバー層向けソーシャルEC「爱風尚」の創業者の林偉氏が、「36KrPro·WISEサロン」でシルバーエコノミーについて語ってくれた。以下に抜粋する。
梅松氏:投資の視点からみたシルバーエコノミー
この市場には様々な商品やサービスがあるが、課題も多い。まず、高齢者市場に対する理解が十分ではない。かなりの年配の人にしか目を向けない企業もあるが、中小都市や生活のリズムがゆったりした都市では、45才から定年のような暮らしをする人も多い。次に、高齢者といえば医療や介護が思い浮かぶが、消費や交流の需要に気付いていない。我々が注目するのがまさに後者だ。
さらに、高齢者向けの商品やサービスの数が足りない。アパレルなら高齢者が好む生地、柄などがあるが、その分野では良いブランドが少ない。高齢者向けのコスメも急速に伸びてきている分野だ。最後に、商品とサービスの質の問題だ。高齢者はお金を使いたがらないという思い込みで、安かろう悪かろうの商品を提供しているが、1960-70年代生まれの人たちは、改革開放の恩恵もあって、高品質なものに対するニーズが強い。
辺長勇氏:オフラインの会員を持つオンライン「高齢者向けテレビ」に
我々は高齢者向けのショート動画サービス「北京大媽有話説」を運営しているが、その過程での感想を共有したい。まず、高齢者は生産者なのか、それとも消費者なのか。「TikTok(ティックトック)」には高齢者のインフルエンサーが多数いて、若者が彼らのショート動画を楽しんでいる。一方、我々動画サービスの場合、高齢者は消費者でもある。次に、テレビ番組と同じ感覚で製作してもだめだということ。また、高齢者のショート動画視聴の習慣は若者と異なるため、若者向けの感覚でコンテンツを製作してもうまくいかない。さらに、特定の個人だけを観察した上で出した結論は往々にして間違っていること。最後に、同じようなサービスをずっと提供し続けるのは危険だということだ。
我々の目標は簡単で、「オフライン会員を持つオンラインの『高齢者向けテレビ』」というものだ。この業界ではオフラインが好調でも、オンラインのニーズを捉えきれない企業が多数ある。オンラインは重要だと私は信じている。そして、オンライン・オフラインの融合も大事で、オフラインの組織を作り、コミュニティに浸透していかなくてはならない。だからこそ、この目標を立てた。
林偉氏:広場ダンスをきっかけに、「新中高年」をターゲットに
我々の場合、高齢者が好む広場ダンス(公園などの集まりダンスを楽しむこと)をきっかけに顧客になった例がほとんどで、顧客の中心は40-60代だ。私は中国広場ダンス協会の会長であり、それ以前は営業職を長年経験してきた。
広場ダンスに関する現在の状況はこうだ。まず、広場ダンスを楽しむ人が非常に増えている。国の統計では1.2億人いるという。
次に、参加者の年齢層が下がっていること。だから「新中高年」という言葉を使うとき、我々が考えるコアターゲットは家庭の主婦だ。彼女たちは高齢の両親や孫の消費を左右できるため、家庭内の「トラフィック」の中心だと言える。
彼女たちを惹きつけるには、彼女たち特有の心理とニーズを理解しなくてはいけない。この世代はインターネットを活用しているものの、青少年時代は共産主義色の濃い時代だったため、共産党内の強力な組織構造に対する信頼感が強い。そこで、我々も組織づくりを重要視し、広場ダンス協会や各地域の支部を作り、組織でコミュニティへの浸透を図っている。
心理の次にはニーズだ。今年、中央電視台と広場ダンスの特番を共催し、清華大学の教授を招いて広場ダンスについて語ってもらった。この世代の人々は、テレビに出ることや、清華大学の教授の講義を聞くことに憧れを持っている。こうしたイベントにより、彼女たちに愛着を持ってもらうことができ、しかも自発的に宣伝をしてくれるようになる。
我々はコンテンツ産業ではないが、商品がコンテンツだとも言える。我々は広場ダンス用のシューズを開発し、さらに中高年向けの化粧品を開発している。こうした良い商品があれば、彼女たちは自ずと友人に紹介してくれるようになり、一気に顧客が増えるのだ。
「爱風尚」はプラットフォームであり、ブランドでもある。中高年のためにライフスタイルの提案をしていきたい。
(翻訳:小六)
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