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バナジウムレドックスフロー電池による蓄電システムを手がける中国企業「液流儲能科技(ENERFLOW)」がこのほど、シリーズA+で資金を調達した。高瓴創投(GL Ventures)が出資を主導し、国新証券(China Reform Securities)傘下の国新国証基金管理も参加した。2023年5月のシリーズAと合わせた調達額は、数億元(数十億円超)となった。
レドックスフロー電池は、大容量・長寿命・高い安全性といった特長があるため、大規模かつ長期間運用できる蓄電装置として注目を集めている。なかでも、とくに設置規模を拡大しているのがバナジウムレドックスフロー電池だ。
中国では2023年にレドックスフロー電池の設置が爆発的に増加し、1〜6月だけで設置件数が前年同期の2倍強に拡大した。中核匯能(CNNP Rich Energy)や国家電力投資集団(SPIC)などの発電大手は23年、2ギガワット時(GWh)を超えるレドックスフロー電池を調達した。新興産業分野のシンクタンク伊維智庫(EV Tank)によると、中国のバナジウムレドックスフロー電池の新規設置容量は、25年に2.3ギガワット(GW)に、30年には4.5GWに増加し、市場規模は405億元(約8兆円)に達する見通しとなっている。
ENERFLOWは2022年2月、国内外の大学や研究機関でレドックスフロー電池の研究に携わったメンバーを中心に設立された。レドックスフロー電池の開発から生産、システムインテグレーション、販売、維持管理までを一貫して手がけ、安全で長寿命かつクリーンな新型蓄電システムの構築に注力している。
最高経営責任者(CEO)の鄭暁昊によると、ENERFLOWは電池スタック、電解液、システムインテグレーションを独自に開発・生産する能力を備えているうえ、これらを統合した事業展開を行い、コスト削減を目指した技術開発と実用化を進めている。
レドックスフロー電池の商用化を早めるうえでコスト削減は欠かせない。ENERFLOWはこの課題に取り組み、それぞれの生産段階でコストを削減することに成功した。
同社が電池スタックに使用する多孔膜とバイポーラ板材料は、性能を維持しつつ低コストを実現する。システムインテグレーションに関しては、配管の簡素化と昇圧システムの改良を進め、電力ロスを減らした。また、新たな電解液システムやバナジウム粉末などの精製技術を独自開発したことで、電解液を低価格で生産でき、電池のエネルギー密度も25〜30%向上させられるという。
ENERFLOWは中央企業(中央政府管轄の国有企業)や上場企業と提携し、レドックスフロー電池産業のエコシステムを構築している。化学大手の山東海化(Shandong Haihua)とは合弁会社を設立し、電解液を量産する。また、同じく化学大手の亜星化学(Yaxing Chemical)と共同で、流体システムの設計と統合発電所の投入を推し進める。さらに、電力設備大手の山東電工電気集団(Shandong Electrical Engineering&Equipment Group)とは、新型蓄電システム市場を共同で開拓していくという。
(翻訳・田村広子)
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