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筆者は香港で働いている。現地の友人や同僚と話をしていて感じるのが日本旅行の身近さだ。直近1年ですでに5回日本に訪れている友人もいる。なぜそんなに好きなのかまた日本でどんなことをしているのか話を聞いてみた。
日本人と同じような現地を楽しむ旅行スタイル
筆者の友人の香港人Sさんはこの半年で日本に4回旅行した。行き先はそれぞれ九州、長野、北海道、名古屋だ。
長野や北海道でスキーをしたり、熊本の黒川温泉や大分の由布院で温泉に入って紅葉を見たり、楽しみ方は日本人とほとんど変わらない。
Sさんは「日本の地方都市では伝統的な文化が体験できるし、人が少なくて並ばなくていいので、ゆったりと楽しめるのが気に入っています」と話す。
同僚の香港人Eさんも10月の国慶節や春節(旧正月)など長期休みのたびに日本旅行に行っている。今年2月の春節休暇には名古屋でレンタカーを借りて金沢(石川県)や白川郷(岐阜県)を訪れ、夜には日本人の観光客でもなかなか行かないような地元の焼き鳥屋を予約して食事したという。
「タイやベトナムも物価が安くて楽しいけど、街のきれいさだったり価格に対する料理や買い物の品質の高さは日本が1番だと思います」
2024年は4ヶ月ですでに80万人の香港人が訪日
観光庁によると2024年1月~4月に日本を訪れた香港人旅行者は約80万人で前年同時期の約57万人から42%増加した。コロナ禍前の2019年1同期と比較しても15.5%増えている。香港の人口は約730万人であることを考えると(のべ人数ではあるが)今年1~4月に人口の約11%がが日本を訪れている計算になる。
2024年1~4月の訪日旅行者数を各国の人口で単純に割ると、韓国は約6%、台湾は約7%なので香港人がアジアの中でも突出して「日本好き」であることが分かる。
円安と地方への就航地増でリピート先に
なぜこれほど日本が人気なのか。香港人だけに限った理由ではないがまず挙げられるのが円安だろう。コロナ禍前の2019年の4月は1香港ドルが約16円だったが、2024年4月では約20円と約20%下がっている。コロナ禍も明けてようやく海外旅行に行ける、という時期に日本旅行が20%オフになっていると考えると行きたくなるのも理解できる。
香港からの日本へのフライトが増えているのも大きいが。東京や大阪など大都市はもちろんのこと、ここ1年では格安航空会社(LCC)系の航空会社の日本の地方都市への就航が相次いでいる。
LCCの代表格である香港エクスプレスは以前から香港から高松や沖縄など地方都市と香港を結んでいたが、2023年に入ると東京(羽田、成田)、沖縄便を増便し、福岡、名古屋、熊本、鹿児島線を新規就航した。季節によっては函館、米子線も運航している。
また香港を拠点とするLCCグレーターベイ航空も2023年に東京、大阪便を開設した。香港人からすると東京や大阪のような大都市から日本の地方都市まで旅行の選択肢が広がっているのだ。香港から沖縄へのフライト時間は約2時間、九州までは約3時間とフライト時間が短いことも魅力的だろう。東京や京都、大阪など定番の旅行先を訪れたことのある香港人のリピーター需要も捉えることができている。
日本の地方都市で香港人の姿を見かける機会は今後も増えそうだ。
(文・阿生、写真・浦上早苗)
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