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米テスラのイーロン・マスクCEOが人型ロボット「Optimus」の量産を宣言してから、中国でも人型ロボット開発のスタートアップが相次いで巨額の資金調達を実施するなど、業界全体のボルテージが上がっている。
今年7月に中国・上海市で開催された世界人工知能大会(WAIC)では、20種類以上の人型ロボットが鮮やかなデモンストレーションで最先端のスキルを披露し、会場の注目を集めた。例えば、宇樹科技(Unitree Robotics)の四足歩行ロボット「Go2」はステージ上で繰り返し宙返りをしてみせ、そのたびに来場者から驚きの声が上がっていた。また、逐際動力(LimX Dynamics)の二足歩行ロボットは、来場者から強烈なキックを浴びせられても倒れることなく、その耐久性と安定性を余すところなく披露した。
テスラの第2世代Optimusは、今年5月に同社の工場で実地訓練を開始しており、すでに自動車用バッテリーの仕分けなどの作業を進めている。テスラによると、Optimusはニューラルネットワークを用いた視覚認識とFSD(Full Self-Driving)用チップにより、バッテリーセルをトレーに正確に並べることができる。現在のところ2台が工場内で作業にあたっているが、マスク氏は2025年までに1000台以上を稼働させると表明している。
新興ロボットメーカーの優必選科技(UBTECH)も、独フォルクスワーゲンと中国第一汽車集団との合弁会社・一汽大衆(FAW-VW)と提携し、自動車部品の組み立てや搬送に産業用人型ロボット「Walker S」を活用する試みを進めている。
反復作業が中心の過酷な工場勤務から人間を解放すること、それこそが人型ロボットの実用化における重要かつ最初の使命と言える。大規模言語モデルなど高度なAI技術が発達したことで、ロボットはこれまで以上に賢くなったように思える。しかし、本当の意味で人間の生活に溶け込むには、多くの難題を克服する必要がある。
第一に、人型ロボットを活用できる場面は限られている。ロボットメーカーの従業員らによると、人型ロボットは機能が限定されているため、実生活の中で大規模に活用するのはまだ難しいという。実際、人型ロボットを開発する主要メーカーの多くは、主な出荷先を大学や研究機関としている。
第二に、人型ロボットが学習を重ねて環境に適応できるようになるには、物理世界のモデルとロボットの行動モデルという2つのデータモデルが必要になる。物理世界のモデルは膨大かつ煩雑なため、ロボットに習得させるには大量のデータソースが必要になるだけでなく、正確なモーションキャプチャを完了するために長時間のトレーニングを施さなければならない。
AIのおかげでロボットは複雑な動作もできるようになったが、人とロボットが同じ空間で活動するようになれば、ロボットには制御しにくいランダムな要素がさらに増え、想定外の状況に対応できないという事態になりかねない。
第三に、コストの問題がロボットの普及を妨げている。高度な対話能力や知覚能力を備えた人型ロボットは非常に高価で、1台の価格が数十万~100万元(数百万~2000万円)に上るため、ほとんどの企業は手が出ない。
中国では、人型ロボットの「頭脳」を支えるチップやその他の主要部品などを、依然として輸入に頼っている。部品の90%以上を国産化できたメーカーもあるが、チップなどの中核部品の国産化が大きな課題として立ちはだかる。中核部品の国産化は、コスト削減や安定したサプライチェーンの確立にも大きく関わってくる。
人型ロボットメーカー・星動紀元(Robot Era)の責任者は、現在も米NVIDIA製のロボット用チップを用いていると認めつつ、「当社はすでに部品の90%以上に国産品を使用している。目下、ファーウェイと今後の提携について協議を進めており、将来的には100%国産化を実現したい」と語った。
*1元=約20円で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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