アクセンチュアが「飛馳鎂物」の買収で合意、中国で自動車向けデジタルサービス拡大へ

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総合コンサルティング企業のアクセンチュアは10月8日、自動車のデジタル化とモビリティサービスを手がける中国の「飛馳鎂物(FutureMove Automotive)」を買収することで合意したと発表した。今回の買収についてアクセンチュアは、具体的な内容を明らかにしていないが、公式サイトで「当社のインダストリーX.0部門を強化し、中国で事業を展開する自動車メーカー向けに革新的なコネクテッドサービスとモビリティサービスを構築する」としている。

飛馳鎂物は2015年4月に設立され、320人余りの従業員を抱える。北京、上海、南昌、成都にオフィスを設け、主要事業として自動車のデジタル化とモビリティサービスを手がけ、自動車向けクラウドプラットフォーム及びソフトウエアサービス、コネクテッドカー用車載端末、デジタルオペレーション、モビリティサービスの四分野で業務を展開する。

飛馳鎂物の王強CEOは以前、同社は国内の同業他社と異なり、大手ブランドを中心とする国際的な自動車メーカーを主要顧客に持つと話していた。昨年の中国の高級車販売台数でトップ10に入ったメーカーのうち6社が取引先となっている。今年3月末には米マイクロソフトと戦略的提携を結んだと発表。マイクロソフトは、飛馳鎂物との提携が自社の「自動車産業エコシステムの拡充につながる」と説明した。

飛馳鎂物は2016年12月にシリーズAで1億元(約15億円)近く、2017年11月にシリーズA+で5000万元(約7億5000万円)、2018年3月にシリーズA3で数千万元(数億円)、今年4月12日にも数千万元を調達している。

アクセンチュアはアイルランドに登記上の本拠を置き、主に戦略、コンサルティング、デジタル、技術、オペレーションに関するサービスとソリューションを提供。米経済誌「フォーチュン」が毎年発表する世界の企業収益ランキング「フォーチュン・グローバル500」にランクインしている。

今回の買収についてアクセンチュアグレーターチャイナのチェアマンを務める朱偉氏は「中国のモビリティ市場では接続(Connectivity)、自動運転(Autonomous)、シェアリング(Shared)、電動化(Electric)という四つのトレンドが合わさって、既存の産業構造を再構築する大きな変革が進んでいる。そのため、コネクテッドサービスやモビリティサービスなどのデジタルサービスは今後、自動車メーカーのビジネスモデルや成長にとって極めて重要なものになるだろう。当社は能力の持続的な拡充を通じ、中国で日に日に高まる消費者のデジタルサービスに対する需要を満たすと同時に、自動車メーカーの業績向上にも貢献できる」としている。

アクセンチュアのインダストリーX.0ハイインパクトGTMリードのマルチェロ・タミエティ氏は「飛馳鎂物の買収は自動車業界のデジタル化に必要なサービス能力の向上につながる。飛馳鎂物の専門性を活かし、当社はより幅広い顧客にコネクテッドサービスとモビリティサービスを提供でき、中国という重要な市場や急速に発展する電気自動車分野でイノベーションを推進していくことができる」と説明した。

今回の買収完了後、飛馳鎂物の王強CEOはアクセンチュアのインダストリーX.0シニア・エグゼクティブに就任する。同氏は「自動車のデジタル化とモビリティサービスのソリューションサプライヤーとして『サービスとしてのインテリジェントカー』という素晴らしい体験をユーザーに届けたい。アクセンチュアの実績と強大なデジタルサービスのレパートリーは、われわれが中国でインテリジェントカー関連製品とサービス分野で大きなビジネスチャンスをしっかりとつかむ後押しになる」との考えを明らかにしている。
(翻訳・神戸三四郎)

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