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医療業界への投資は難度が高い。市場の想像をはるかに超えているほどだ。同業界では高い専門性が求められるが、それは技術、審査承認、生産およびマーケティングなど多岐にわたる。
あるベテランの医療分野投資家は以前、医療・ヘルスケア産業に投資する真の実力を備えた中国の投資機関は30社にも満たないと述べている。「斯道資本(Eight Roads Ventures China)」はそうしたVCの一つだ。1996年に中国に進出した同機関は長期にわたり世界の医療・テクノロジー分野に注目を寄せており、新薬開発、医療サービス、医療情報・インターネット医療および医療機器の四大セグメントに投資している。
2017年には専門の中国医療ファンドを初めて設立。現在は「薬明康徳(WuXi AppTec)」「信達生物製薬(Innovent Biologics)」「華領医薬(Hua Medicine)」「固生堂中医(GuShengTang TCM Healthcare Technology)」「思派網絡科技(Medbanks Network Technology)」といったユニコーンまたはユニコーン候補を「お膝元に抱え」、医療投資分野において相対的に安定した地位を築いている。
投資の決定や実施に関し、斯道資本のパートナーである林蕊氏に話を聞いた。
早い段階から企業の持続的成長に寄り添う
斯道資本は米資産運用大手フィデリティ系のグローバル自己資産投資機関として、その潤沢な資本をもとに長期的な投資を実施し、企業の持続的成長をサポートしてきた。
医療分野は数年では目に見える成果が出にくい業界であり、息の長い育成が必要だと林氏は考える。斯道資本は投資先企業に対し、ビジネスに関する短期的な意思決定を迫ることはなく、これが同機関の重要な投資方針となっている。林氏によれば「LP(リミテッドパートナー)のKPI(重要業績指標)という視点からのみで投資撤退を考えることはない」という。
このほか、斯道資本の大多数の投資案件はいずれもシードラウンドまたはシリーズAに集中しており、ミドル~レイターステージの企業に投資することは少ない。「ポートフォリオのうち90%は斯道資本が初の出資機関となった案件だ」と林氏は語る。
グローバルリソースに基づく先見的思考
林氏によれば、斯道資本およびフィデリティ傘下の他の姉妹ファンドは世界で100社以上の医療関連会社に投資しているが、全て一つのLPに属しており、非常に密接な提携関係にある。このため、斯道資本は世界中のリソースやネットワークを最大限に動員し活用することが可能だ。現在では米国、日本、インド、中国および欧州に140人余りの医療専門投資チームを抱えており、世界の医療業界の発展を十分に踏まえた投資戦略を構築し、先見的な投資を行っている。
中国と欧米の先進国(特に米国)とは、技術や産業の発展に時間差がある。アメリカの医療産業の動向やトレンドを常に見て勉強している林氏は子宮頸(けい)がんのスクリーニング検査の例を挙げ、「アメリカでは1990年代の時点で普及率が80%を超えていた。米中間には20年近くの差が開いており、このため斯道資本は2007年に『英碩力新柏科技(Beijing TCT Medical Technology)』に出資を行い、子宮頸がん検査薬が中国の医療診断市場からスクリーニング検査市場にまで普及する支援をした」と語った。
エコシステムの構築を目指して
特定領域で偏った投資を行うベンチャーキャピタルとは異なり、斯道資本は産業全体に投資するスタイルを堅持し、新薬開発、医療機器、医療サービス、IT医療といった一連の医療分野に対するオールラウンドな投資を実施している。
取り扱う疾患の種類としては、腫瘍や糖尿病、また心血管科、整形外科、婦人科、耳鼻科など患者の需要が高い分野に重きを置いている。耳鼻科を例に挙げると、斯道資本はすでに川上の外科診療設備、手術機器、消耗品、さらには川下の日帰り手術センターおよび医薬品といった分野において体系的な出資を行っている。
今後のビジョンについて話が及ぶと、林氏は「エコシステムの構築というと大きな概念に聞こえるが、我々は非常にクリアな戦略図を描いている。重点投資分野や増資に関する目標は明確だ」と語った。
(翻訳・神部明果)
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