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中国ではここ数年、政策と資金面の後押しを受け、低高度空域を飛ぶ有人・無人航空機を活用した経済活動「低空経済」関連産業の発展が絶えず加速している。関連上場企業が発表した2024年第1~3四半期(1~9月)決算をみると、低空経済の産業チェーンは膨大かつ複雑で、業績も企業ごとにばらつきが大きかった。
金融情報サービス大手の万得信息技術(Wind)の統計によると、低空経済に関連する上場企業70社のうち、1~9月の純利益が黒字となったのは52社で全体の7割強を占めた。売上高が前年同期比で増加したのは35社、純利益が増加したのは31社だった。
完成機分野では、ヘリコプターメーカー大手、中航直昇機の1~9月の売上高が3.1%減の173億元(1元=約21円)、純利益が29.9%減の3億5700万元となった。航空機用システム・電子部品を手がける航天時代電子技術は売上高が28.7%減の92億3400万元、純利益が9.4%増の5億6200万元。小型航空機の製造を手がける浙江万豊奥威汽輪は売上高が2.0%減の113億7千万元、純利益が5.1%増の5億6400万元だった。
動力系統分野では、エンジンメーカーの重慶宗申動力機械が増収増益を実現し、売上高が27.0%増の73億500万元、純利益が4.8%増の3億9100万元となった。
機体構造分野では、新素材メーカーの中航航空高科技の売上高が5.5%増の38億2100万元、純利益が8.0%増の9億1200万元となり、業績を着実に伸ばした。高性能炭素繊維・複合材料の開発・生産を手がける威海光威複合材料は売上高が8.9%増の19億200万元、純利益が1.0%減の6億1500万元だった。
「空飛ぶクルマ」と呼ばれる電動垂直離着陸機(eVTOL)など低空経済のインフラだけでなく、空域管理や低高度空域でのセンシング、低高度空域の運営などの分野も注目されている。ただし、1~9月の業績には企業ごとに大きなばらつきが見られた。
中国ではここ数年、政策がけん引役となる中、低空経済の発展が加速し、関連企業が取り組みを進め、産業化が加速し続けている。中国の市場調査会社、賽迪顧問(CCIDコンサルティング)の推計によると、中国の低空経済規模は23年に5千億元を超え、26年には1兆元の大台を突破する見通し。中核産業の規模は1兆元を超え、産業チェーンの川上・川下での投資も1兆元以上となり、さらに異業種融合を通じて1兆元以上の経済成長を生み出すと見られる。
多くの地方が低空経済に関する発展目標とロードマップを打ち出している。海南省は11月18日に開いた「海南省の低空経済発展に向けた3カ年行動計画(2024~26年)」に関する記者会見で、①26年までにゼネラルアビエーション(一般航空)空港を9カ所、低高度空域を飛ぶ航空機の離着陸地点を500カ所建設する②低高度空域の航空路を300路線開発する③有人機の飛行回数は30万回、無人機は450万回を実現する④低空経済の産業チェーン関連企業を200社導入、育成し、低空経済産業の規模を300億元に引き上げる-などの方針を明確に示した。これに先立ち、北京市や上海市なども低空経済の発展に関する行動計画を次々に発表している。
低空経済に関する産業ファンドの設立も相次ぎ、関連産業を金融面で支えている。広東省珠海市は11月11日に低空経済ファンド群の設立を発表した。目標調達額は100億元で、第1期は15億元。大まかな統計によると、現時点で20省・直轄市が低空経済に関連する産業ファンドを設立しており、その規模は1千億元を超える。(新華社北京)
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