時価総額2700億円が水の泡。中国ベビー&マタニティSNS「宝宝樹(Babytree)」が上場廃止

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ベビー&マタニティ専門のオンラインコミュニティ(SNS)や電子商取引(EC)を手がけ、かつては業界最大手として名を馳せた「宝宝樹集団(Babytree)」が、12月9日付で香港取引所への上場を廃止した。自社の状況を総合的に検討したが同取引所の上場条件を満たせず、株式売買再開の請求を見送ったという。

宝宝樹は中国のベビー&マタニティ業界の最古参で、オンライン教育大手の好未来教育集団(TAL)、EC大手のアリババグループ、投資大手の復星集団(Fosun Group)が株主に名を連ねる。2018年5月には、アリババと戦略的提携を締結し、広告やEC、C2M(Customer to Manufactory)などでの協業を開始。同年11月には香港上場を果たした。

しかし、その勢いは長くは続かなかった。2019年以降は赤字が続き、22年までの4年間で累計赤字額は18億元(約380億円)に達した。株価の下落も止まらず、上場初日の8香港ドル(約160円)から取引停止直前には0.265香港ドル(約5.3円)に暴落。時価総額は135億香港ドル(約2700億円)から4億4000万香港ドル(約88億円)に縮小した。下落幅は96%を上回った。

宝宝樹は妊娠中の女性や3歳までの子どもを持つ母親のための子育てコミュニティを運営し、ECへの誘導や広告投入を手がけてきた。調査会社・網経社のEC研究センターで主任を務める曹磊氏は、中国の年間出生数の減少に伴い、ベビー&マタニティ市場の規模も徐々に縮小し、宝宝樹の従来型のビジネスモデルでは業績拡大を見込めなくなったと指摘する。

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しかも、新たに台頭したショート動画共有アプリ「抖音(Douyin)」やSNSアプリ「小紅書(RED)」などが、多彩なコンテンツを生み出す力や強大なマーケティング能力を背景に、子育て中のユーザーを急速に引き寄せている。これらのプラットフォームは、子育てに必要なコンテンツを大量に提供するだけでなく、アルゴリズムによる「おすすめ」などを通じ、それぞれのユーザーに適したサービスを届けている。宝宝樹はコンテンツの刷新やサービスの向上が追いつかず、新興プラットフォームにユーザーを奪われていった。

*1元=約21円、1香港ドル=約20円で計算しています。

(36Kr Japan編集部)

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