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中国のパワー半導体の自動検査装置・精密測定機器メーカーの「忱芯科技(UniSiC Tech)」がこのほど、シリーズBで2億元(約40億円)を調達した。国投創業(SDIC Venture Capital )が出資を主導し、陽光融匯資本(Riverhead Capital)と火山石投資(Volcanics Venture)も参加した。資金は将来を見据えた製品開発や新製品の量産、事業のグローバル展開に用いられるという。
忱芯科技は2020年に設立され、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)、シリコン(Si)を使用したパワー半導体素子の特性評価や検査に関わる製品を手がけている。パワー半導体メーカー、パワー半導体の設計・パッケージング企業、電気自動車(EV)メーカーおよびティア1サプライヤーに向けて、精度や信頼性が高くコストパフォーマンスに優れた検査ソリューションを提供している。
EVを含む新エネルギー車や太陽光発電・蓄電システム、スマートグリッド(次世代送配電網)、データセンターなどの分野が急成長するのに伴い、ますます高い性能のパワー半導体が求められるようになっている。シリコンベースの半導体素子は耐圧・耐熱性やエネルギー効率の面で限界に達しつつあるため、市場ではシリコンを上回る性能を持つ次世代半導体へのシフトが進んでいる。
次世代半導体材料の代表格である炭化ケイ素は、絶縁破壊電界強度や熱伝導率、電子飽和速度がシリコンよりも優れているため、EVや急速充電スタンド、再生可能エネルギー、送配電網、最先端医療用画像機器などの分野で大きな優位性を発揮することが期待される。調査会社Yole Intelligenceの予測では、SiCパワー半導体市場は2028年に89億ドル(約1兆4000億円)を突破し、市場普及率は55%に達するという。
SiCパワー半導体市場の成長により、検査装置の需要も拡大している。しかしSiC半導体検査装置の開発と実用化にあたっては、高周波電磁干渉や振動の問題をはじめ、検査の精度や速度、装置の耐久性や信頼性など、数多くの技術的な課題を解決する必要がある。
グローバル市場では、シリコン半導体検査装置で優位性を築いてきた海外企業数社が、パワー半導体検査装置の主なサプライヤーとなっている。中国市場はスタートが遅かったものの、ここ数年でSiCパワー半導体向けの新たな検査ソリューションが急速に求められるようになった。ある統計によると、2024年の中国のパワー半導体検査装置市場の規模は約30億元(約630億円)で、30年には100億元(約2100億円)に達すると見込まれている。
忱芯科技はこうした背景のもとで設立された。創業者の毛賽君博士は「2020年から国内外の業界トップ企業との提携を始めた。パワー半導体メーカーや自動車メーカーは、あらゆる条件でSiCパワー半導体の特性検査を実施できる高性能の検査装置を切実に必要としている」と語る。同社のSiCパワー半導体検査装置は、ウエハー検査、チップ検査、モジュール検査、システムレベルテストに幅広く対応しており、研究室や生産ラインなどさまざまな現場のニーズを満たすことができる。
SiCパワー半導体の高速スイッチング時には、テスト回路のインダクタンスによって高いスパイク電圧が発生するため、半導体素子の動作電圧範囲内で信頼性の高い測定が行えない場合があるという。この問題を解決するため、忱芯科技では革新的な積層バスバーとコンデンサ設計を採用して主回路のインダクタンスを低く抑え、検査の精度と信頼性を向上させた。これまでに出荷した検査装置は200台を突破しており、国内の垂直統合型パワー半導体大手と提携を結んだほか、海外の企業にもすでに納入している。
このほか、精密測定機器の分野でも事業を展開しており、精密ソースメジャーユニット(SMU)などを手がけている。これらの機器は同社のパワー半導体検査システムの基幹部品として使用されるほか、製品単体でも販売されている。2024年に発売したSMU製品は海外の顧客から安定した受注を獲得している。
同社は欧州や東南アジアの顧客にサービスを提供するため、独ミュンヘンでオフィスの開設を進めるほか、広東省広州市に中国華南地区と東南アジアを管轄する販売・アフターサービスチームを置いている。これまでに取得した発明特許と実用新案は100件以上に上る。
*1元=約21円、1ドル=約154円で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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