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アジア最大級のテックカンファレンス「GITEX Asia」が、2025年4月23日(水)~25日(金)にシンガポールのマリーナベイサンズで開催される。本イベントには世界中から1000以上の企業やスタートアップ、2万5000人以上の技術バイヤー、250人以上の投資家が参加する予定だ。
AI、量子コンピューティング、スマートシティ、次世代モビリティ、サイバーセキュリティ、ブロックチェーン、サステナビリティなど、世界中の注目を集める分野において、最前線の議論が展開される。
東アジア地域では、経済の成熟化やモビリティの進化、利便性の向上が進み、世界中の企業に新たなビジネスチャンスを創出しており、革新的な技術が次々と生まれ、前例のないスピードで進化を遂げている。そして、その進化は単なるテクノロジーの発展にとどまらず、地域ごとの社会課題や経済的ニーズとも深く関連している。
例えば、インドネシアの農村部では金融サービスが急速に普及しており、金融リテラシーの高い都市国家シンガポールとは異なるスタイルで進化している。シンガポールはその小さな国土や資源の制約を抱えており、持続可能な開発への転換に注力、循環型経済への移行を加速しつつある。これに対して日本は、高齢化社会という課題を克服すべく、ヘルステックやメドテックといった分野で急速な技術革新が進行している。
東アジア地域全体で見られる技術革新の波は、各地域の産業や社会生活を深く変革しており、各国が掘り下げるテーマも多岐にわたる。そこで今回は、GITEX Asiaでも注目されるであろう東アジア地域全体の重要な技術トレンドについて紹介する。
1.汎用型AIから垂直型AIへ
AI技術は、かつて汎用的な用途で注目を集めていたが、今日では特定の産業ニーズに対応するために「垂直型AI」の重要性が増している。汎用的なAIモデルでは、特定の産業が抱える複雑な課題を解決するには限界があり、より精緻なデータや市場固有の知識を活用したAIの開発が求められている。このため、AIを特定の産業向けにカスタマイズする動きが強まり、これにより企業はより精度高く、業界特有の課題に応えることができるようになっている。特に、地域固有の文化や市場のニーズを反映させることで、効果的なAIソリューションを提供することが可能となっている。
2.自動運転革命
ジャカルタやバンコクのような都市では、交通渋滞が日常的な問題であり、移動はしばしば大きなストレスとなっている。しかし、最近では自動運転技術の進展により、これらの問題が解消される可能性が現実となってきた。自動運転車は、交通量の削減に貢献するだけでなく、高齢者や障害者を含むすべての人々の移動の自由度を向上させ、安全性を高める可能性も持ち合わせている。
自動運転技術の導入に向けた試験運用や、都市部での実証実験が各地で行われており、物流や都市計画分野での利用も拡大しつつある。さらに、自動運転車両は既存のモビリティサービスと連携し、効率性やアクセスの向上を促進する重要な要素となっている。しかし、技術の進展に伴い、規制への対応も重要な課題となっている。
3.急速にEVが普及する現実
持続可能な開発がグローバル規模で求められる中、電気自動車(EV)へのシフトは避けられない。エネルギー需要の増加や、国際的な取り組み(例えばCOP28)の影響を受けて、化石燃料から再生可能エネルギーへの移行が急速に進行している。EV技術は、環境負荷の軽減だけでなく、新たな経済圏を生み出す原動力ともなりつつある。
企業は、再生可能エネルギーへの移行を促進する技術に積極的に投資し、EVインフラの拡大を進めるべきである。充電ネットワークの整備や、電気自動車の普及を支えるための技術革新が急務となっている。また、持続可能なイノベーションを推進するために、国際的なパートナーシップを形成し、EVの普及を加速させることが重要である。
4.ヒューマノイドロボットの実用化
ロボティクスの分野では、ヒューマノイドロボット(人型ロボット)が実用化の段階に入っている。これまでロボットの活躍の場は生産ラインや一部の特定用途に限られていたが、近年では、人間の動作や意思決定を模倣するヒューマノイドロボットが、様々な産業に革命をもたらす可能性を秘めている。製造業やサービス業などで利用が拡大しており、業務の効率化や生産性向上に貢献している。
ヒューマノイドロボットの活用を進めるため、企業はロボティクス技術を既存の業務に統合し、革新者と協力する必要がある。また、ロボットによる労働力の補完が進む中、労働力の移行に向けた研修プログラムの開発も欠かせないだろう。
5.より簡単で便利な決済テクノロジー
金融リテラシーやサービスが進歩しているにもかかわらず、特に信用履歴が不足する人々や遠隔地に住む人々にとって、金融サービスへのアクセスは依然として困難である。これらのハードルを克服するためには、金融アクセスを拡大し、特にサービスが届いていない地域や層に焦点を当てることが不可欠である。
後払いサービス(BNPL)や、国境を越えた決済プロセスの簡素化が進んでおり、これにより経済的平等と金融エコシステムへのアクセスが広がる可能性がある。新たな技術や戦略的パートナーシップを通じて、より広範な層へのサービス提供が求められている。
6.「ゆりかごからゆりかごへ」
地球規模で天然資源の枯渇が深刻化する中、循環型経済への移行はもはや選択肢ではなく必然である。製造業を中心に、リサイクルや再利用を前提とした「ゆりかごからゆりかごへ」の原則を導入することで、資源を無駄にせず持続可能な経済活動を実現することが求められている。
企業は製造プロセスにおいて、リサイクルや再利用を積極的に統合し、地域の循環型経済イニシアチブに参加することが重要である。これにより、持続可能性の高い経済モデルが確立される。
7.エッジコンピューティングと5G
DXが進展する中で、データのリアルタイム処理と低遅延が求められるようになった。エッジコンピューティングの導入により、データの遅延を削減し、効率的に処理することが可能となる。また、5Gネットワークの展開が進む中で、接続性への需要も急増しており、企業は5Gを活用した新たなネットワークインフラの整備に注力する必要がある。
さらに、レーザー通信や新たな通信技術など、従来のネットワークインフラを補完する代替技術の開発も進んでいる。
8.量子コンピュータへの挑戦
量子コンピュータは、従来型コンピュータでは解決できない複雑な問題を、従来のシステムに比べて指数関数的に速く解決する可能性を秘めている。量子コンピューティングの研究は急速に進展しており、今後、さまざまな産業に革命をもたらすと期待されている。
企業は量子コンピュータに関する最新の研究を追い、技術が成熟する前に準備を整えることが求められる。量子コンピュータが実用化されるまでの間に、従来のコンピュータと量子コンピュータをうまく融合させるソリューションの開発が重要である。
未来をつくる場としての「GITEX Asia」
東アジア地域の技術革新は、単なる一時的なトレンドにとどまらず、グローバルイノベーションの未来そのものを刷新しつつある。AIの社会実装やEVの普及、量子技術の躍進といった進展は、挑戦と可能性を同時にもたらしている。そして、東アジア地域の未来を形成するための有益な場を提供するのが「GITEX Asia」だ。
2025年4月23日から開催予定のGITEX Asiaでは、これらアジア地域を中心とした最先端のトレンドをさらに深く理解するためのコンテンツが目白押しとなっている。アジア地域でイノベーションを推進する起業家や投資家と直接交流する貴重な機会も提供される予定なので、ぜひ注目してほしい。
参加方法やコンテンツの詳細は、公式サイトを随時ご覧ください。
公式サイトはこちら:https://gitexasia.com
(36Kr Japan編集部)
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