「四方向移動ロボット」で倉庫効率化。上海智世機器人、世界展開を視野に資金調達

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スマート倉庫のソリューションを提供するスタートアップ企業「上海智世機器人(ZS Robotics)」はこのほど、シリーズAで数千万元(数億円超)を調達した。安徽省科創領投(Anhui Science and Technology Investment)が主導し、既存株主の聯創資本(NewMargin Ventures)も参加した。 資金は製品開発とグローバル市場の開拓に充てられる予定だ。

智世機器人は2019年に設立され、四方向に移動可能な無人搬送車(RGV)の開発と製造に注力している。同社の劉少偉COOによると、四方向移動ロボットはまだ新しい技術で、貨物が密集した立体倉庫内でパレットを使用した貨物の保管と荷さばきを行い、立体倉庫の自動化を実現するという。

人工知能(AI)とIoT技術を組み合わせることで、四方向移動ロボットのスマート化や自動化が進み、倉庫管理の効率がさらに高まっている。効率的で柔軟性の高い倉庫自動化設備として、電子商取引(EC)や製造業、医薬品などの分野で広く活用されている。

現在、智世機器人は服飾、食品、コールドチェーン、医薬品など10業種以上にサービスを提供している。運ぶ貨物のタイプや大きさ、カテゴリはさまざまだが、四方向移動ロボットは共通のパレットを使って商品を取り扱うため、さまざまな業界の顧客にサービスを提供することができる。

四方向移動ロボットに特化した企業だけあって、同社の製品ラインアップはほとんどの倉庫のニーズをカバーしている。智世機器人は車体のサイズ、積載量、旋回時間、安全装置、ソフトウェアによるスケジューリングなど多くの面でイノベーションと最適化を進めてきた。 さらに、配送現場の課題に基づいて製品やソリューションを改良し、製品の使いやすさと利用体験を継続的に向上させている。

海外にも製品を大量出荷できた理由の1つとして、劉COOは智世機器人が3年をかけて細部に至るまで製品をブラッシュアップしてきたことを挙げる。 汎用性を向上させるため四方向移動ロボットでは90%以上をモジュール化したほか、すべて電子制御駆動システムを採用しているため、製品の安定性が高まり、メンテナンスコストを削減することもできた。ソリューションを導入する企業が徐々に増加する中、智世機器人は納期の問題点や使用上の課題を集約し続けて、2024年には安全に関わる10種類以上のソリューションを追加した。

劉COOによると、中国国内では四方向移動ロボットの導入にかかる期間は通常2カ月だという。設備の設置、電子制御の適用、ソフトウェアによるスケジューリング、業務との連携という、4つのステップを踏むだけで、倉庫エレベーターやベルトコンベア、基幹システム(ERP)、倉庫管理システム(WMS)などとスムーズに連動させられる。 海外では、物流と倉庫建設の手法が異なるため、導入には少し長くかかることがあるが、総じて見れば妥当な範囲内にあるという。

加えて、海外の顧客にサービスを提供するため、智世機器人は2025年にグローバルパートナーとの関係強化を目的とした智世学院を立ち上げる計画を進め、市場対応したスペア部品センターを建設するほか、将来的には海外の関連工場建設やチーム設立への投資も検討する。

2024年には智世機器人の受注量が前年から約4倍に増加した。一連の製品が欧州連合(EU)での適合性の基準となるCE認証を取得し、海外市場の拡大を加速したことで、海外からの受注が全体の3分の1に達し、日本、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、アルゼンチンなどで導入が進んでいる。

智世機器人の生産拠点

江蘇省昆山市に約5000平方メートルの生産拠点があり、年間生産能力は2000台で、2025年の納品目標に十分対応できる。 今後2〜3年の受注の伸びを勘案し、26年には新工場を建設して、生産能力の拡大を見込んでいる。

*1元=約21円で計算しています。

(36Kr Japan編集部)

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