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アリババは8日、傘下の物流サービス「菜鳥網絡(Cainiao Network)」(以下、菜鳥)に対する新たな追加投資を主導したことを明らかにした。アリババは増資分の引受けおよび旧株の取得により233億元(約3500億円)を出資し、持株比率は約51%から63%に増加した。また菜鳥の既存株主も今回の出資に加わった。
菜鳥は今回の資金調達により、物流業界のデジタル化を含む技術投資を引き続き強化する。またAIを活用したスマートサプライチェーンを構築し、サービス事業者のコスト削減と利益拡大をさらに後押しするほか、世界的なスマート物流基幹ネットワークの構築を加速させる。
アリババの菜鳥に対する大規模な投資の裏には、同社の巨大なビジネスエコシステムにおける物流インフラを強化したいとの思惑がある。ニューリテールの戦略的重要度は絶えず高まっており、菜鳥をはじめとする、アリババにのニューリテールにとって最も重要なインフラであるスマート物流は進化し続けている。現時点で、生鮮食品スーパー「盒馬鮮生(Hema Fresh)」では30分以内、「天猫超市(Tmall Supermarket)」では北京・上海に限り1時間以内での配送を売りにしているほか、宅配アプリ「菜鳥裹裹」を利用すればECサイト「タオバオ(淘宝網)」や「天猫(Tーmall)」での2時間以内の発送・返品サービスが受けられる。これらは全てアリババのスマート物流網の一部だ。
中国で毎年11月11日の恒例となった年間最大のECセール「双11」をにらんだ今回の出資は、まもなく訪れる物流大型ピークを強力にバックアップするものでもある。今年のセール期間中、菜鳥は大手宅配企業5社「四通一達」(「申通快逓(STO Express)」、「圓通速逓(YTO Express)」、「中通快逓(ZTO Express)」、「百世快逓(BEST Logistics Technology)」、「韻達快逓(YUNDA Express)」)と共同で、長江デルタ経済圏内の26都市で72時間以内の配送を実施すると宣言した。菜鳥は過去数年にわたり、同業他社と共に一丸となって配送時間の短縮を推進してきた。あるデータによれば、過去6年間の双11セールだけを取っても、荷物1億個の配達日数が6日半短縮されたという。
菜鳥のスマートサプライチェーンはECサイトの出店者にも恩恵をもたらしており、商品の回転率は3割向上し、物流費用は15%低下した。また国外の出店者のコストも10%引き下げたほか、配達日数も5~10日にまで短縮され、効率性と利便性が全面的に向上した。
グローバルスマート物流基幹ネットワークの構築においては、同社は世界中の物流パートナーと共同で「eWTP(世界電子貿易プラットフォーム)」の大型物流拠点「eHUB」や海外倉庫の建設を加速し、事業者のグローバル取引に対するエンドツーエンドのソリューションを提供している。菜鳥は欧州や東南アジアにおいて72時間以内の配送を早期に実現したいとしている。
アリババの菜鳥に対する資金投下は長期にわたっている。2017年に53億元(約800億円)の増資を実施した際には、すでに数百億元(数千億円)の投資を終えていたが、今後5年でさらに1000億元(約1兆5000億円)を投資する計画を明らかにしていた。
また、この投資効果はすでに見え始めている。アリババの2019年第2四半期(7~9月)の決算報告によると、上述の宅配アプリ「菜鳥裹裹」や物流サービスプラットフォーム「菜鳥驛站」などの消費者向けサービスは今年1~9月に2倍に急成長している。(翻訳・神部明果)
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