中国発「布センサー」、シャオミ出資で量産加速 スマートコックピットや人型ロボットに活用拡大

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布状のフレキシブル圧力センサーを手がける中国スタートアップ「堯楽科技(Yotlive)」がこのほど、小米集団(シャオミ)から数千万元(数億円超)の資金を調達した。今回の資金調達は、研究開発や量産体制の強化を目的としており、同社のセンサー技術を多分野に展開する原動力となる。

Yotliveは2010年に設立され、自動車、家具、医療、スポーツなど幅広い業界にカスタマイズ製品を供給している。

自動車向けの圧力センサーは、数百項目の認証・テストが必要で、新製品の導入までに通常3年以上かかる。かつては海外の大手企業に独占されていたが、Yotliveは2019年に某大手高級自動車メーカーのテストに合格し、スマートコックピット向け圧力センサーの主要サプライヤーに選ばれた。現在は、蓄積してきた技術と量産能力を生かして、複数の自動車大手のテストパートナーとなっているほか、月間販売台数1万台規模の量産モデルへの採用実績もある。

創業者兼CEOの呂莉藴氏は車載電子機器の世界大手ハーマンでチーフエンジニアを務めた経験があり、中心メンバーには中国科学院や米ミシガン大学などの出身者がそろう。呂CEOは「自動車分野から切り込んだのは、最高レベルにブラッシュアップした技術を他の分野に転用できるからだ」と語り、現在はスマートホームやロボティクス分野にも積極展開している。

「織物+電子」で布型センサーを実現

調査会社Grand View Researchによると、世界のスマートセンサー市場は2023年に514億2000万ドル(約7兆4000億円)に達し、24年から30年まで年平均成長率19.0%で拡大する見通しだという。なかでも、フレキシブルセンサーのポテンシャルは極めて高い。柔軟性や密着性、装着性などに優れているため、スマートホームや自動車、医療・ヘルスケア、消費者向け電子機器などの分野に活用が広がり、市場ニーズが爆発的に拡大している。

Yotliveは織物に着目した独自のアプローチを採用し、導電材料やスマートデバイスを伝統的な織物素材と組み合わせることで、環境の変化や人の生体信号を正確に検知できるようにした。センサーの機能性・接続性・スマート性が高まり、データの高速伝送とスマート処理が可能になったという。

独自開発の織物型圧力センサーは、強度の高い金属繊維を編み上げて導電ネットワークとし、複数の織物で挟み込む「サンドイッチ構造」となっている。感度や柔軟性が高く、水洗いもできるといった特長があり、広い面積の圧力分布をリアルタイムにモニタリングできる。

Yotliveが使用している繊維(左2枚)、別の材料の繊維(右)(画像は企業提供)

スマートベッドパッド向け圧力センサーは、身体の部位ごとのサポートや、いびき防止、健康モニタリングなど、主流となっている機能の8〜9割をカバーしている。従来のベッドパッドの生産工程を変更することなく、構造設計を基にセンサーとコントローラーを挟み込むだけで済むため、顧客企業はスマートベッドパッド開発のハードルやコストを大幅に下げられる。

ユーザーが使用している最中は、センサーが体圧や睡眠姿勢などのリアルタイムデータを収集する。コントローラーは「ベッドパッドの頭脳」として、センサーデータを基にカスタムアルゴリズムを実行し、各部品を正確にコントロールする。例えば、ユーザーの体型に合わせてエアバッグを膨張・収縮させたり、ベッドパッドの角度を変えたりすることも可能。ダブルベッドにも対応しており、1人で寝る時にはコントロールシステム1つを用い、2人で使用する際はシステム2つを連動させ、ユーザーそれぞれが好きな形で睡眠がとれるようになっている。

近年注目を集める人型ロボット分野においても、手指や腕関節、背骨など鍵となる部位にYotliveのセンサーを組み込むことで、力の強さや姿勢の変化、地形の特徴をリアルタイムで識別できるようにし、精密な力制御やルート計画を可能にした。「人に近い触覚」を持ったロボットは、家庭での清掃や工場での組み立て作業などの場面で環境の変化に的確に対応して、ロボットハンドを器用に操作できるようになるほか、衝突による本体の損傷も抑えられるようになる。

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現在、Yotliveは自動車のみならず、二輪車やスマートホーム分野でも安定的な量産と受注を実現してしており、大手ロボット企業やウェアラブル機器メーカーとの提携も進んでいる。

*1元=約20円、1ドル=約144円で計算しています。

(翻訳・田村広子)

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