作業員14人分の仕事を4台で完了 中国発スマート研磨ロボット、「手作業依存」の産業課題に挑む

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中国の高性能研磨ロボットメーカー「図速自動化科技(TOSSO)」(以下、図速科技)がこのほど、シリーズAで雲時資本(Seas Capital)から数千万元(数億円)を調達した。資金は研究開発やチームビルディング、運営能力の強化などに充てられる。エンジェルラウンドでは、人工知能(AI)大手の商湯科技(センスタイム)が出資した。

図速科技は2016年に設立され、AIを搭載したスマート研磨ロボットの開発・製造に注力している。主な製品は、フレキシブルな力制御が可能な研磨装置、複数のユニットからなる研磨ツール、消耗材の自動交換モジュール、研磨作業専用AIモジュール、光学検査システムなど。これらのモジュールを組み合わせたスマート研磨ロボットは、軌道交通や航空・宇宙、風力発電、自動車などの分野で広く活用できる。

工業の自動化は、溶接など多くの分野で大きく進展しているが、表面研磨の自動化率は10%に満たず、依然として大部分を手作業に頼っている。手作業による研磨は、効率が低く品質もまちまちで、良品率も低い。また、人材確保の難しさやコストの高さに加え、作業員の健康被害などの問題も抱えている。しかし、従来型の研磨ロボットでは、多様化するニーズに応えるのは難しいという実情もある。

図速科技の創業者である葛旭剛氏は、研磨ロボットの潜在需要は350億元(約7000億円)を上回り、今後も伸び続けると予測する。

同社のスマート研磨ロボットは、AI外観検査、リアルタイム経路計画、フレキシブルな力制御などの機能を搭載し、金属や複合材料、塗料など、さまざまな表面研磨に対応できる。現在は、航空機や風力発電用ブレードなどに用いる「自律移動式複合研磨ロボット」と、鉄道車両や航空・宇宙向けの複合材料部品など向けの「固定式研磨ステーション」の2種類を打ち出す。

「図速科技」のスマート研磨ロボット

視覚モジュールは、図速科技のコア技術の一つだ。葛氏によると、同社のAI外観検査技術は、直射光や照明、反射光の強い環境でも、ピンホールや塗料カス、クレーター、繊維状異物など塗装面の欠陥を正確に識別でき、検出率は98%以上、誤検出率は2%以下、検出精度は0.15mmを達成。また、光学分析を活用した経路計画技術により、ロボットは特殊な形状や曲面にも対応し、最適な研磨ルートを自動で生成できるようになる。

小型航空機の塗料除去を例にとると、通常は作業員14人が2日間かけて研磨作業を完了させるが、図速科技のスマート研磨ロボットなら4台を同時稼働させることで同じ時間内に作業を終えられる。

図速科技はすでに、鉄道車両大手の中国中車(CRRC)や航空機大手の中国航空工業集団(AVIC)、宇宙開発大手の中国航天科技集団(CASC)などと緊密な提携関係を確立している。また、自動車や船舶、金属加工などを手がける複数の大手メーカーとの協業も進めており、年内に1億元(約20億円)規模の受注を目指している。

*1元=約20円で計算しています。

(翻訳・田村広子)

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