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今年の「双11(中国で年間最大のEコマース特売イベント)」において、アリババグループ傘下のECモール「天猫(Tmall)」は取引総額2684億元(約4兆円)の新記録を達成し、世間の注目を集めた。
11月14日、北京大学の光華管理学院とアリババ系シンクタンク「阿里研究院(AliResearch)」が2019年「ウォッチング・チャイナ(看中国)」フォーラムを開催した。アリババグループの張勇(ダニエル・チャン)CEOは同フォーラムに登壇した際、「天猫の双11での成功を支えたのは『新たな消費』の力だ」と述べた。
今年の双11には約5億人の消費者と20万を超えるブランドが参加したが、これらの数字の裏には、注目すべき新たな変化がいくつか見られた。まず、5億人の消費者を年齢層別に見ると、50歳以上の消費者は前年同期比42%増と最も増加率が高く、消費者層の変化を示している。また、若い消費者層の代表格である「95後(1995年以降生まれ)」も全消費者の29.1%を占めるようになった。
若い消費者層の台頭に伴い、彼らが支持する「新ブランド」の売上も伸びた。今年の双11で取引額が1億元(約15億円)を超える299ブランドのうち、数十ものブランドはここ数年で新たに登場した、又は若者をターゲットとする新型ブランドだ。その代表格である中国の化粧品ブランド「完美日記(PERFECT DIARY)」は、数多くの海外化粧品ブランドを抑え、化粧品売上ランキングで1位に輝いた。
消費者層と商品の変化に加え、販売ルートの変化も顕著だ。李佳琦(Austin)や薇婭(viya)などの有名ライバー(ライブ配信者)の販促力が功を奏し、大手ECサイト「淘宝(タオバオ)」のライブコマース「淘宝直播(タオバオライブ)」は今年の双11で天猫に約200億元(約3000億円)の売上をもたらした。北京大学光華管理学院の劉俏院長もフォーラムで「最近李佳琦(Austin)の名前を覚えた」と発言しており、有名ライバーの名前が世間一般に広がってきたと言える。
言うまでもなく、双11のGMV(流通総額)の成長には限界があり、頭打ちになる日は必ずやってくる。では、GMVの次は何に注目すべきだろうか。劉俏院長が出した答えは、「消費構造の変化、とりわけ消費支出に占めるサービスの支出割合」だ。
北京大学光華管理学院の統計によると、2035年には中国における「90後(90年代以降生まれ)」の人口が5億人を超え、EUの総人口に相当するようになるという。しかもその半分が高等教育修了者だ。その時点で一人当たりのGDPは2万ドル(約220万円)を超え、台湾または韓国と肩を並べるまでに成長する見込みだ。これらの消費者の嗜好と消費力は、将来の産業界および供給側に大きな影響を及ぼすこととなる。
「双11でアリババが発表した取引額は虚偽だった」とのネット上の噂に対し、張勇CEOは「すべての消費データは自然にはじき出されたものであり、プラットフォーム側はいかなる操作も加えていない。最も大事なのは真実だ。双11が今日まで成長を続けてきたことは社会的規律、経済的規律の表れだといえる。我々はよりよい数字が達成できるよう望んではいるが、それが顧客へのサービスをさらに徹底した結果として、(好成績が)自然に導き出されることを願う」と反論した。
フォーラムの最後に、張勇CEOは「双11の歴史の中ではイノベーションが不可欠だった。双11は毎年新しく変化してきた。これからも、時代とともに絶え間なく前進すること、未知のものを探し続けること、自分自身への挑戦を止めないことでしか、世の中に新鮮感や楽しさを与え、世の中を巻き込む方法はない」と結んだ。
(翻訳・田文)
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