中小物流企業を統合しLTL輸送ネットワークを構築する「拉拉隊」

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物流業界の一翼を担う道路輸送。その市場規模は実に巨大で、2018年時点で5兆5000億元(86兆9000億円)に達した。このうち、物流部門を第三者企業に委託するサードパーティー・ロジスティクス(3PL)によるトラック輸送が80%近くを占める。セグメント別にみると、その大半を占めるのがTL輸送(大口貨物輸送)で、代表的な企業に、「トラック版ウーバー」ともいわれるトラック配車サービス最大手の「満幇集団(Full Truck Alliance Group、FTA)」が挙げられる。

一方、3PLによるLTL輸送(小口混載輸送)市場をみると、物流最大手の「順豊エクスプレス(SF Express)」、「德邦物流(DEPPON LOGISTICS)」、「安能(ane)」など、業界ランキング上位20社の市場シェアはわずか4%程度しかない。中小がひしめき合い、大手が存在しないのがこの業界だ。

これを商機とみたのが2018年創業の「拉拉隊(laladui)」。中小物流企業の統合を皮切りに、情報収集、取引、信用、金融などの機能を一体化した物流取引プラットフォームを構築した。創業者の鄭傑氏は、LTL輸送市場でユーザーが一番に求めているのは貨物を目的地に直送してくれる業者をみつけることで、積み替えの手間を減らしたいのだと指摘する。中小の物流会社が取り扱うのは集配センターや営業所に近い顧客からの発送依頼がほとんどで、空車率(空荷の状態で走行する率)が高く、安定した受注先がないというのが最大の悩みとなっていた。

そこで「拉拉隊」は物流リソースのシェアリングデータベースを構築した。中小の物流会社は、このプラットフォーム上に自社の物流リソースや輸送ルートを登録しておくと、物流会社同士オンライン上で様々なリソースを融通し合うことができる。ユーザーは目的地に応じてルートを選ぶことができるうえ、貨物の運送業者や輸送状況、引き渡しについての情報を随時確認することができる。

プラットフォームの運営については、自社のマネジメントシステムを開発して受注管理と輸送管理を行っている。先払いか後払いかは常に悩む問題だが、これについては、第三者の信用サービス・プラットフォームを提供し、プラットフォームが資金管理を代行することで荷主と運送業者双方の懸念を解消している。

「拉拉隊」のミニプログラム

ミニプログラムの利用料については無料とオプションサービスの選択方式とし、金融や保険、カスタマイズサービスなどの業務で利益を確保している。物流プラットフォームではサプライチェーン・ファイナンスを展開しにくいのが現状だが、主なターゲットユーザーである中小物流会社が資金調達難や資金繰りなどの問題を抱えていることを踏まえ、銀行や金融機関との提携で資金立て替えサービスを提供している。今後、貨物保険や資産運用商品などの業務も展開していきたいとしている。

高コストがネックとなるため、都市間貨物輸送では拠点間を結ぶ輸送がメインであり、宅配便のような「ドア・ツー・ドア」のサービスを提供することは難しい。そこで「拉拉隊」では、同じ都市にある貨物輸送プラットフォームと協力して、荷受側と物流会社間に横たわる「ラストワンマイル」問題の解消に繋げることも計画している。

物流業界の中でもLTL輸送業界の将来性を有望視している企業に「壹米滴答(Yimidida)」や「商橋物流(Shangqiao Logistics)」などがある。このうち、「宅配便方式の特急輸送」を売りにする壹米滴答は、今年初めにシリーズDで18億元(約280億円)の資金を調達し、区と県レベルで90%以上をカバーする宅配を実現した。順豊も昨年5月にフランチャイズ形式でLTL市場に参入、向こう2年で国内にLTLネットワークを構築する計画だ。

「拉拉隊」は安徽省合肥市に本拠地を置く。チームは計8人、今年9月からアプリとミニプログラムのサービス運用を開始している。創始者の鄭傑氏はサプライチェーン・マネジメントと物流業界に長年携わってきた。同社の運営総監(運営責任者)は德邦物流や物流大手「遠成物流」傘下の「遠成快運(Yuan Cheng Express)」、壹米滴答での職歴もあり、長く物流業界で管理経験を積んだ人物だ。

「拉拉隊」は2020年までに周辺エリア市場への進出を完了させる計画だ。500社以上の物流会社を登録させるほか、中小企業ユーザー1万社以上にサービスを提供、年間7000万元(1億1000万円)以上の取引額達成をめざしたいとしている。エンジェルラウンドでの資金調達も模索しており、市場運営や組織開発、商品開発に充てたいとしている。
(翻訳・北村光)

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