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「好大夫(haodf.com)」は当初、オンライン医療相談プラットフォームとして設立され、主に病院の受付代行と患者の相談対応を行っていた。その後は国の政策変更などもあり、オンラインでの医療行為が許可され、現在は診察し処方や紹介状を出すことが可能になっている。
患者が好大夫を利用する場合、まず既往歴、服薬状況などを含む詳細な問診票に記入し、その後好大夫の患者振り分け担当者が同プラットフォームで登録している医師に患者を振り分ける。しかし、患者の振り分け担当に関しては全員医学部で5年以上勉強した経歴を持つにも関わらず、コールセンターのような業務にしか従事できないのは大きな浪費だと問題視されていた。そのため、好大夫はAIによる患者の振り分けに取り組んでいる。
2020年1月4日、好大夫が主催したフォーラムにおいて、同社のビッグデータ・AI部門の責任者高建氏がAIにおける取り組みを紹介した。
AIトリアージからスタート
高建氏によると、好大夫では現在患者の緊急度などの判断、カルテ管理、皮膚病のAI識別が可能だという。
AIは症状の緊急度と治療の難易度によって患者の振り分け先を判断し、その病状が得意分野である医師に患者を振り分ける。現在使われているAIは主要症状、過去症例、医療情報、カルテの内容を自動的に識別し判断することができる。
高建氏によると、同社が対応する500以上の診療科目のうち、すでに300科目以上で、AIによる診断の精度が人間を上回ったという。患者の割り振り担当者は最多で150名以上いたことがあったが、今は8人に減少している。1日あたりの割り振り件数は約3万件で、所要時間は平均30分から最短で3秒にまで短縮された。割り振りのミスの発生率は5%から0.5%に下がったという。今後性能が更に向上すれば、システムをパッケージとして病院に販売することも検討している。
AI患者振り分け判断のほか、カルテ管理と皮膚病のAI識別でも一定の成果を挙げている。例えばカルテ管理では、診療画像、診断書の記録やOCR機能を提供しており、カルテを多角的に研究することが可能になっている。
好大夫が設立されてから14年が経ち、現在テキスト、画像など十数種類のデータ収集仕様を立ち上げ、それに基づいて膨大なデータを蓄積した。現在カルテ数は8000万、患者が提供した診療画像や検査結果などの画像は1.5億枚に上っており、AIのさらなる改善と診断の支援に向けた基盤が形成されている。
チーム医療の展開
効率の改善に関して、好大夫はAI以外にチーム医療にも取り組んでいる。
2019年1月、好大夫のCEO王航氏は、同社のオンライン診療がチーム医療時代に入ったと宣言した。すなわち、有名な医師をチームリーダーとし、その医師の下に助手、所属の医師、看護師、理学療法士などからなるチームが置かれる形だ。患者が急増し誰もが名医に診てもらいたいと考えるが、こうした形を取ればより効率よく診察でき、好大夫としても売上の増加が期待できる。
王航氏の宣言から1年が過ぎ、今回のフォーラムではチーム医療の成績が紹介された。現在好大夫には3903のチームがあり、メンバーは計1万3608名である。チーム医療が対応した患者数は2018年の9万人弱から2019年の69万人へと急増した。チーム医療による売上高は2018年の約400万元(約6400万円)から2019年の約2500万元(約4億円)に増えた。
しかし、それでも1万人台のメンバー数では、好大夫に登録している21万人の医師と比べると少なすぎると王航氏は語る。実際の運用においても課題は山積しており、今後好大夫、ひいてはオンライン医療の大きなブレークスルーが起きるかどうかはまだ見通しが立たないという。
(翻訳:小六)
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